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「樹幹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

樹幹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
想い出された。 私の肉体は盛り出した暑さに茹るにつれ、心はひたすら、あのうねる樹幹の鬱蒼の下に粗い歯朶の清涼な葉が針立っている幻影に浸り入っていた。 そのと....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
らの穴のまわりに群がっているのである。 人間の眼には、おぞましく気味の悪いこの樹幹の吹き出物に人間の知らない強い誘惑の魅力があって、これらの数多くの昆虫をひき....
軽井沢」より 著者:寺田寅彦
岳の大きさ高さが納得できるような気がした。 ホテルの付近の山中で落葉松や白樺の樹幹がおびただしく無残にへし折れている。あらしのせいかと思って聞いてみると、こと....
物理学圏外の物理的現象」より 著者:寺田寅彦
合流して樹枝状の模様を作る。この場合は前の多くの場合とは反対に枝の末端のほうから樹幹のほうへ事がらが進行するので、この点でも地上の斜面に発達する河流の樹枝状系統....
笑い」より 著者:寺田寅彦
たとえばはげしい颶風があれている最中に、雨戸を少しあけて、物恐ろしい空いっぱいに樹幹の揺れ動き枝葉のちぎれ飛ぶ光景を見ている時、突然に笑いが込みあげて来る。そし....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
かい合わせるようにする。これは人間の祖先の猿が手で樹枝からぶら下がる時にその足で樹幹を押えようとした習性の遺伝であろうと言った学者があるくらいであるから、猫の足....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
つるの皮膚にひきつって 濡れた軌条がぬたくり 臓物の臭う泥道に 焼け焦げた並木の樹幹からぶよぶよの芽が吹き 霖雨の底で 女の瞳は莨の火よりもあかく 太股に崩れる....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
い樅の木が一本あるのを見つけて、ハンターに手伝って貰って、それを、丸太小屋の隅の樹幹が交叉して角をなしている処に立てた。それから、屋根に攀じ登って、自分の手で国....
断片(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
からませた、その葉が大変に茂っていたので、これに当たる風の力が過大になって、細い樹幹の弾力では持ち切れなくなったものと思われる。 これで見ても樹木などの枝葉の....
美醜」より 著者:豊島与志雄
三はカミキリ虫だ。私はこの虫のことを悲しく思う。カミキリ虫の幼虫は鉄砲虫である。樹幹にくい入って穴をあけ、遂にはその樹を枯してしまう。樹を愛する心から、私にはカ....
高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
あり、朽葉の間を鰻のように走って、紫色に光っている。掌大の白い翼の蛾が、苔むした樹幹にとまっていて、怪しい幻覚を起させる。 この山道の感銘には、俗塵を脱した清....
絶縁体」より 著者:豊島与志雄
って、上方の枝は切り取られてる幹に、ところどころ、太い瘤々が盛り上っていた。その樹幹を、市木さんは例のスケッチブックに、鉛筆で写し取っていた。 私はそこへ行っ....
津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
との間の交渉は種々の点で認められる。単にその技巧の上から見ても津田君の例えばある樹幹の描き方や水流の写法にはどことなくゴーホを想起させるような狂熱的な点がある。....
千里眼その他」より 著者:中谷宇吉郎
それは馬尾蜂《うまのおばち》という長い針のような産卵管を持った蜂がある。この蜂は樹幹中に棲《す》む天牛《かみきりむし》の幼虫の体に、樹皮の上からその産卵管を刺し....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
かねばならぬ。少しく急な傾斜を持つところになると、眼前へあらわれてくる一つ一つの樹幹のうち最も手頃と速断さるるものを掴まえて登って行く。汗がいち早く頸のほとりを....