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「樹影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

樹影の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
畝莠言《なんぽいうげん》』上に拠ると建長寺僧自休が竹生島に題せる詩の五、六の句〈樹影沈んで魚樹に上り、清波月落ちて兎流れに奔《はし》る〉とあるを作り替えたのだ。....
遺書」より 著者:尾崎秀実
私の態度は湖水の静かな水のようにその上を去来する白雲や時には乱雲や鳥の影や、また樹影やらを去来のままに映し来り映し去って行きたいと思っています。世界観あり、哲学....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
は、幹にも枝にも紅い艶を持って来た。家へ帰って庭を眺めると、土塀に映る林檎や柿の樹影は何時まで見ていても飽きないほど面白味がある。暖くなった気候のために化生した....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
しい日光の代になった。待ちかねた様に蝉が高音をあげる。ほやり/\水蒸気立つ土には樹影黒々と落ち、処女の袖の様に青々と晴れた空には、夏雲が白く光る。戸、障子、窓の....
旅愁」より 著者:横光利一
わ。」 葉の色よりやや薄い竹色の椅子の背には、ショールの銀狐が巻きついていた。樹影の色で青白んで見える客の中には居眠っている顔も見えた。遠方の樹の間で閃めくコ....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
なった、山の頂は直ぐ額の上にあるかして、水分を含んだ冷たい空が、俄にひろくなる、樹影に白い花が、チラリと見えた、誰が叫ぶとなく、石楠花石楠花という声が伝わった、....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
を打って颯と追った。 老人は、手拭で引摺って袖を拭きつつ、見送って、 「……緑樹影沈んでは魚樹に上る景色あり、月海上に浮んでは兎も波を走るか、……いやいや、面....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
孕むことを忘れ おれの精虫は尻尾を喪い ひろしまの中の煌めく租借地 比治山公園の樹影にみごもる 原爆傷害調査委員会のアーチの灯が 離胎する高級車のテールライトに....
丹下左膳」より 著者:林不忘
て暖をとっていたつづみの与吉、旅仕度のまんまでお呼び出しに預かり、火焔をうつして樹影あざやかなお庭を、案内の近侍について縫ってゆくと、繁みあり、池水あり、数奇結....
恩人」より 著者:豊島与志雄
て行った時、「見ておあげよ。」と彼は妻に云って、それから縁側に出てみた。 庭の樹影がかさかさと揺いだので後は耳を澄すと、あたりが寂然と静まり返った。その沈黙の....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
安らかな町だった。人家のまわりの庭、花の咲いた桜樹《おうじゅ》、緑の芝地、美しい樹影《こかげ》、擬古式の廃墟《はいきょ》、大理石の円柱台の上、緑の間には、昔の女....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
色のパラソルを持った少女と大学生と恋を語っているのを見て、それを祝し自らは淋しい樹影にかくれて、静かな魂の休息の深いなぐさめを感ずる青年が描かれてありましたが、....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
様子なれば、問いて見たるに、木鼠なりといえり。うとうとして、三時半目を開きしに、樹影天幕に映れり。うれしや、雨止みて、月出でたる也。 次の日も渓の中を行くに、....
撥陵遠征隊」より 著者:服部之総
へ着くつもりのところ、午前十一時までかかった。 上陸する。小村を支障なく通過。樹影一つない平野を過ぎると、やがてうるわしい丘陵地帯になって、相当な町に出た。外....