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「樹梢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

樹梢の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
を見詰めてあるいた。終りには肩をすぼめて、恐る恐る歩行た。雨は満目《まんもく》の樹梢《じゅしょう》を揺《うご》かして四方《しほう》より孤客《こかく》に逼《せま》....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
火を取るという噂があった。又ある人がこの樹の下を通ろうとすると、御殿風の大女房が樹梢《こずえ》に腰をかけて扇を使っていたとも伝えられた。ある者は暗闇で足をすくわ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
十万坪六十余町歩の耕地宅地を包囲して、南に東に北に西に規則正しく間隔を置いて高く樹梢に翻って居る十数流の紅白旗は、戦わずして已に勝を宣する占領旗かと疑われ、中央....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
た一つある。川は、底を傾けて、水を震うので、森の中まで、吹雨が迷い込んで、満山の樹梢を湿す。白樺や五葉松は、制裁もなければ、保護もなく、永えに静粛に、そして厳格....
浮世絵の曲線」より 著者:寺田寅彦
格好になるかならないかもおぼつかないくらいである。しかし古来の名匠は天然の岩塊や樹梢からも建築の様式に関する暗示を受け取ったとすれば、子供の積み木細工もだれかに....
十二支考」より 著者:南方熊楠
下はし得ないから、南方先生の居続け同然数回飛べばどん底へ下り、やむをえず努力して樹梢に昇り、また懲りずまに飛び始めざるを得ず。ただし居続けも勉強すると随分長くや....
十二支考」より 著者:南方熊楠
油揚《あぶらあげ》ならば鳶も取るべきに、薯《いも》は何にもなるまじと言えば、鳶、樹梢で鳴いてヒイトロロ、ヒイトロロ。一八九一年オックスフォード板、コドリングトン....
十二支考」より 著者:南方熊楠
》ぬれば犬しきりに枕頭に吠ゆ。忠茂熟睡を妨ぐるを怒り腰刀を抜きて犬の頭を切るに、樹梢に飛んで大蛇の頭に咋い付く、主これを見て驚き蛇を切り裂いて家に還り、犬の忠情....
虎狩」より 著者:中島敦
。頭巾をかぶり耳には毛皮を当てているのだが、やはり耳がちぎれそうに痛む。風が時々樹梢を鳴らす度に一々はっとする。見上げると、疎《まば》らな裸木の枝の間から星が鮮....
土地」より 著者:豊島与志雄
つき初めた。いつしか雷は止み、雨は霽れ、太陽の光が輝いた。空には雲雀の声が聞え、樹梢には蝉が鳴き立った。凡てが清く輝かしかった。木も草もその一つ一つの葉末に、水....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
は花体が五月に咲く第一次のものよりも小形である。やはり淡紅色でその花が煙の如くに樹梢に群聚して咲き、繊細軟弱な緑葉と相映じてその観すこぶる淡雅優美である。そして....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
蒼く白き烟の末に渋谷、代々木、角筈の森は静に眠りて、暮るるを惜む春の日も漸くその樹梢に低く懸れば、黄昏ちかき野山は夕靄にかくれて次第にほの闇く蒼黒く、何処よりと....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
やかに夢の湊に入る。 九日、朝四時というに起き出でて手あらい口そそぎ、高き杉の樹梢などは見えわかぬほど霧深き暁の冷やかなるが中を歩みて、寒月子ともども本社に至....
五重塔」より 著者:幸田露伴
露の玉|動ぎ立葉に風のそよ吹ける面白の夏の眺望は、赤蜻蛉菱藻を嬲り初霜向うが岡の樹梢を染めてより全然となくなったれど、赭色になりて荷の茎ばかり情のう立てる間に、....