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樹海
「樹海〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樹海の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「予報省告示」より 著者:海野十三
しこの率は、予想外の好成績である。 地球上に、春は訪れ、夏は来った。百花開き、
樹海は拡がり、黴類は恐ろしく生成し、地球全体は緑で蔽われ人々はたらふく野菜や果実....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
後方遙かに峨々たる剣丸尾の怪異な熔岩台地を背負い、前方に山中湖を取|繞る鬱蒼たる
樹海をひかえて、小高い尾根の上に絵のように静まり返っていた。――洋画家の川口亜太....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
れ、そこからやや勾配を上る小路の道には、古風な石垣が片側の崖を防いでいた。僅かな
樹海を通して、セーヌ河の河面の銀波に光る一片や、夕陽に煙った幻のようなエッフェル....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
何ものかの呼び声をうけている。ときどき、段状にかさなってゆく中央山脈の、一染の、
樹海と思われるあたりをおそろしい目でながめていたり、なにより、葉|摺れの音にもび....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
浴び、紫陽花色に輝いていた。降り積もった雪もなかば解け、中腹以下は裸体であった。
樹海の緑は去年のままで、黒く鉄のように錆びていたが、間もなく新鮮な今年の葉が、新....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
は冬に備えて、縁の下に大きい穴を掘って埋めて置かなければならず、目前に一目千本の
樹海を見ながら、薪はやっぱり里人から買わないと、いやな顔をされるし、ここへ来てに....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
くべく長大なる、最新の熔岩流をひろげて、下吉田の町まで肉薄する剣丸尾、青木ヶ原の
樹海から精進村まで、末広がりに扉開きになる青木ヶ原丸尾を、眼下に展開する。殊に青....
「宇宙の迷子」より 著者:海野十三
する。 地形は起伏があり、多くは、れいのタンポポみたいなふしぎな木がむらがって
樹海をつくっている。その間に、ハチの巣のような家がてんてんと散らばっている。おと....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
実際O家は此の町の一端何町四方を邸内に採っている。その邸内の何町四方は一ぱいの
樹海だ。緑の波が澎湃として風にどよめき、太陽に輝やき立っているのである。ベルリン....
「英彦山に登る」より 著者:杉田久女
私は今年英彦山に五六度登った。 或人々は彦山はつまらぬ山だという。 成程銅の大鳥居から四十二丁の上宮迄は
樹海の中を登りつめるので、見はらしはなし、谿流は添わず、大英彦全体を眺める事の出....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
斜面に寝ころんで、貂のような、空の浮き雲をうっとりと眺めている。その、烈しい空、
樹海は、緑の晃燿をあげ、燃えるような谿だ。 (末起がくる、末起を抱いて、あたらし....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
のも伝えない。ただ、お綱の体が根笹の中にひとりでのた打つばかりである。 冷々と
樹海の空をめぐっている山嵐の声と一節切の諧音は、はからずも神往な調和を作って、ほ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
綱と弦之丞のふたりは、星越とこの山の中間にあたる廃寺からのがれだして、遂に剣山の
樹海のような森林へ影を隠してしまったということである。 「で、なんでござんす」と....