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樹皮
「樹皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樹皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
いはご存知ないでしょう。けっして、あの頃の貴方には、いまみたいな蒸《む》れきった
樹皮の匂いはいたしませんでした。ですから、あの男がもし、真実貴方の空骸《なきがら....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
す。 ○ さらに私達のなつかしむのは、あの古典的《クラシック》な
樹皮《じゅひ》です。渋い渋い感じの、そして質朴な、あの
樹皮です。あの龍のような不....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
葉樹《かつようじゅ》が群立して原生樹林帯はしだいに奥暗くなっていった。暗灰褐色の
樹皮が鱗状《うろこじょう》に剥《む》き出しかけている春楡の幹、水楢《みずなら》、....
「地球盗難」より 著者:海野十三
落ちかかる身体を支えようとして、黒光りのする太い節足をふり、刃物のように鋭い爪を
樹皮に突きたてて、なおも懸命に幹に獅噛みつこうと藻掻いた。武夫の方も死にもの狂い....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
は、その枝葉を、棺桶の中へ死人と一緒に詰めたりする外、一般には、その葉を乾したり
樹皮を砕いたりして、仏前や墓前で燻く、あの抹香を製造する原料にされているんだ。判....
「河明り」より 著者:岡本かの子
る。青臭い厚ぼったいゴムの匂いがする。白紫色に華やぎ始めた朝の光線が当って、閃く
樹皮は螺線状の溝に傷けられ、溝の終りの口は小壺を銜えて樹液を落している。揃って育....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
わ」と伸子はちょっと愚痴を洩らして、悲しそうに云った。
「だって私は、あの当時|
樹皮亭の中にいたんですもの。あそこは美男桂の袖垣に囲まれていてどこからも見えはい....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
き穴あるは是れ螺旋形のコロップ抜にて引抜たる痕なるべし、尤も護謨同様に紳縮みする
樹皮なれば其穴は自ら塞がりて唯だ其傷だけ残れるを見るのみなれば更に覆えして下の端....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
よく見ると、木の幹には、いくつとなく、小指の頭ぐらいの穴があいて、その穴の周囲の
樹皮がまくれ上がりふくれ上がって、ちょうど、人間の手足にできた瘍のような恰好にな....
「軽井沢」より 著者:寺田寅彦
りわかるであろう。気の狂った動物園の象ぐらいの事ではすまない。 道ばたの白樺の
樹皮を少しはがしてよく見ると、実に幾層にも幾層にも念入りにいろいろの層が重畳して....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
かで、横枝を出さずにしばしば非常な高さにまで生長する。しかし、年をとるにつれて、
樹皮が瘤《こぶ》だらけになり、凹凸《おうとつ》ができる一方、たくさんの短い枝が幹....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
て来た春の情熱に身悶えしている。冬中眠っていた樹の生命は、また元気よくめざめて、
樹皮の一重下では、その力づよい脈搏と呼吸とが高く波うっている。 その道の学者の....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
の仮りに用いたるの小屋ありて此れに着す。………四五日にして小屋の木材を切り取り、
樹皮を剥ぎて屋根とし、且つ四囲を構い、或は敷きて座敷とせり。………夫れより開墾し....
「性に関するアイヌの習俗」より 著者:河野広道
っと俺の方を窺っている者がある。何者だろうと思ってよく見ると、編みかけのこだし(
樹皮製の手さげ袋)をかぶったような顔の真中からおやゆびを立てたように鼻がにょきっ....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ころの大きなこぶのように突出したところや、そのぐるりを調べだした。そのこぶの上の
樹皮は、なにかが滑り落ちたように垂直にこすれていて、こぶから出た小枝が折れて、下....