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樽柿
「樽柿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
樽柿の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
ざいませんね、アレ塩煎餅《しおせんべい》の壺へ足を踏みかけて、まアお前さん大変|
樽柿《たるがき》を潰したよ」
新「誠に済まないが、ツイ踏んで二つ潰したから、是....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
規《しき》は果物がたいへん好きだった。かついくらでも食える男だった。ある時大きな
樽柿《たるがき》を十六食ったことがある。それでなんともなかった。自分などはとても....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
…」 「いや、どうも、そりゃちと違いましょう。牛肉のバタ焼の黒煙を立てて、腐った
樽柿の息を吹くのと、明神の清水を汲んで、松風を吸ったのでは、それは、いくらか違わ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
酔という想像から、熟柿《じゅくし》のような息を吹き、同時に面ざしも酒ぶとりのした
樽柿《たるがき》のような赤味を想い浮べてみると案外にも、これは蛍を欺かんばかりの....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
ろう、まだ来ねえ、だが旦那あの妓ぐれえ買喰の好きな妓はありませんぜ、先刻も大きな
樽柿と蒸し芋を両方の手に持って、歩きながらこう両方の喰競べを為ながら…あゝ来た/....
「秋の幻」より 著者:豊島与志雄
の上には、籠を背負った行商の女の姿も見られた。彼女は、収穫時の稲田の間を廻って、
樽柿と籾米とを換えて商うのであった。その
樽柿をかじりながら子供等は藁束の間に遊ん....
「放浪作家の冒険」より 著者:西尾正
やつで、生得の殺人者とはああいう男のことをいうのだろう。眼がぎょろりとしていて、
樽柿のようなししっぱなで、唇はあつく前方につんでていて、眉と生え際がつづいている....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
粒な腫物《はれもの》が所嫌わず吹き出ていて、眼も開けないほど、さながら腐りかけた
樽柿《たるがき》のよう。 「あの身体で、」と藤吉は勘次を顧みる。「よくもまあ武家....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
客はそっちのけで片端からムシャムシャと間断なしに頬張りながら話をした。殊に蜜柑と
樽柿が好物で、見る間に皮や種子を山のように積上げ、「死骸を見るとさも沢山喰ったら....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
や、三銭の鮨や、一銭五厘の駄菓子や塩せんべいなどを売りに来た。わたしは一個八厘の
樽柿をかじりながら「三十三間堂」のお柳の別れを愉快に見物したことを記憶している。....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
一・五〇 〇・一二 六五・二二 ― 一・六七
樽柿《たるがき》 八三・六五 〇・五八 〇・〇二 一二・....
「くだもの」より 著者:正岡子規
あとでは、いつでも菓物を買うて来て食うのが例であった。大きな梨ならば六つか七つ、
樽柿《たるがき》ならば七つか八つ、蜜柑ならば十五か二十位食うのが常習であった。田....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
めるというのも柿の収斂性《しゅうれんせい》がアルコール分を吸収するからであの甘い
樽柿はその作用から出来ています。外の菓物を酒樽へ入れても酒の気をあれほどに吸収し....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
立ッている荷箱の板を踏みつけてしまったのである。昨日から傷に熱を持って、足の甲は
樽柿のように地腫れがしていた。 (これは、不可抗力な敵だろうか?) 武蔵は、釘....