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橇
「橇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
橇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
その間に汽船の警笛が、耳の底に沁《し》みこむように聞こえている。空荷になった荷物
橇《にもつぞり》が、大きな鈴を喉《のど》にぶらさげて毛の長い馬に引かれながら何台....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
滝が小さく小さく懸っていた。眩暈《めまい》を感じさせるような谿底には丸太を組んだ
橇道《そりみち》が寒ざむと白く匍っていた。日は谿向こうの尾根へ沈んだところであっ....
「雪後」より 著者:梶井基次郎
ロシアの短篇作家の書いた話をしてやった。―― 「乗せてあげよう」 少年が少女を
橇《そり》に誘う。二人は汗を出して長い傾斜を牽《ひ》いてあがった。そこから滑り降....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の内儀さんの噪いだ雑言には往来の人たちがおもしろがって笑っている。君は当惑して、
橇の後ろに回って三四間ぐんぐん押してやらなければならなかった。 「そだ。そだ。兄....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
の詩を吟じた。 そして校長がいよいよ出発する時には、全校三百余の生徒が、校長の
橇を真ん中にして降り積る雪の中を七里の間、新潟まで送って行った。 そのあとへ、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
荘重な魂の熱望が生れてくるのだ。また、その抛物線を近世の心理分析学者どもは、滑斜
橇で斜面を滑走してゆく時の心理に擬している。そして、虹を恋愛心理の表象にしている....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
が望遠レンズに映ったそうである。 第二の神秘境は、エスキモー土人が狂気のように
橇を駆ってゆくという、グリーンランドの中央部にある邪霊の棲所である。そこは、極光....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
死体、
橇を駆る※ いよいよ本篇から、魔境記も大ものばかりになってくる。まず、その手初....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
シベリアに棲むのに、毛皮の外套なんか用なしにして呉れというのだ。ペチカも不要、犬
橇なんかおかしくて誰が使うかという風に笑い話の出来るようにして貰いたいのだ。いや....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
れを見てにこにこ顔であった。 しかしここは氷上の避難住居である。船もなければ、
橇もない。到底日本へはかえれまい。丁坊はそれをはっきり知らないのだろうと、蔭で涙....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
びらを飛ばしていた。街燈は暗く、街は鎮まりかえっていた。憐れな老馬に牽かせてゆく
橇の人が、こんな夜に迷っている通行人を怪しむように見返りながら通った。ヘルマンは....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
、街の粉雪の裾を斜に煽る。そして行き交う厚い外套と雪靴の街、子供達の雪合戦の街、
橇の其処にも此処にも散ばる街――その街はクリスマスの仕度の賑わう街なのです。処々....
「博物誌」より 著者:岸田国士
予行をやってみるのである。 Le Cygne 彼は泉水の上を、雲から雲へ、白い
橇のように滑る。なぜなら、彼は、水の中に生じ、動き、そして消え失せる綿雲だけに食....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
。 雛の微笑さえ、蒼穹に、目に浮んだ。金剛神の大草鞋は、宙を踏んで、渠を坂道へ
橇り落した。 清水の向畠のくずれ土手へ、萎々となって腰を支いた。前刻の婦は、勿....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
許を下すまでには、四カ月もかかっている。そして――一五九四年の六月――三人の男は
橇につながれて、ホルボオンの博士邸の前を通ってチパーンの刑場に引かれていった。こ....