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機転
「機転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
機転の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「貉」より 著者:芥川竜之介
歌うと、母親が問いかえした。それに、貉《むじな》かも知れぬと答えたのは、全く娘の
機転である。――恋は昔から、何度となく女にこう云う
機転を教えた。
夜が明けると....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
び出したのに、兄ちゃんはよその女の人にばっかし気を取られていたので、カラ子は結局
機転を利かしてひとりで尾行して来たのだったが、さすがに嫉妬じみた気持に、カラ子は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
次郎をつれて来た。勝次郎はまだ二十一か二で、色の青白い痩形の男で、見たところ、小
機転の利いているらしい江戸っ子肌の職人ではあるが、度胸のすわった悪党でもないらし....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
。 豹一も多鶴子も運転手に「走れ」と命じたわけではなかった。ただ運転手が咄嗟の
機転を利かせたのだった。彼は豹一の顔から察して豹一を多鶴子の情人だと、簡単に決め....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
卓子の上の皿なども一二枚は落ちた、余は抱き起しつつ「水を、水を」と叫んだが、一番
機転の利くのは怪美人で、直ぐに卓子の上の水瓶を取り硝盃《こっぷ》に注いで差し出し....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
下されることになっていた。ましてお駒は男でない、賤しい勤め奉公の女として、当座の
機転で罪人を撃ち悩まし、上に御奉公を相勤めたること近ごろ奇特の至りというので、か....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
星ジュリアはパッタリ舞台に倒れて虫の息となってしまった。間髪を入れず、舞台監督の
機転で、大きな緞帳がスルスルと下りた。それがジュリアの最後の舞台だった。 青竜....
「地中魔」より 著者:海野十三
村荘六から折紙をつけられている三吉のことだった。九死のうちにも、僅かな隙を見出す
機転と胆力とがあった。 「おお、気をつけろ。その辺に小僧が逃げこんでやしないかッ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
労働者は哀れにも川上機関大尉の身替となってあえない最期を遂げたのである。 この
機転が、それからどんなに監視隊員の眼をくらましたか、又杉田二等水兵がリット少将の....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
の処に立てり。 我が座を立ちしと同時ならむ。と思うも見るもまたたくま、さそくの
機転、下を覗きて、 「もう、奥様、何時です。」 「は。」 とお貞は起ちたるが、....
「劇の好きな子供たちへ」より 著者:岸田国士
そこを、ただいいかげんにごまかすのではなく、劇の面白さをへらさぬように、そくざの
機転で、たくみに補うことは、これまた、劇の劇らしいところである。 即興とは、前....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
四郎は、静かに部屋の中へ入って来た。 座が定まってさて挨拶! という時に要介の
機転、床の間に立ててあった例の門札を、恭しく抱えて持って来るや、前へ差し出しその....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
蒙るという事に致すことにしました。ちょうど温かい心もちが無いのではありませんが、
機転のきかない妻君が、たまたまの御客様に何か薦めたい献りたいと思っても、工合よく....
「残肴の処理」より 著者:北大路魯山人
りした場合は、もう一ぺんこれを生かして、自分達の味覚研究として、試食するくらいの
機転がなくてはならない。経済的にいっても、もとよりの話であるが、料理人は料理で身....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
蔭に悄然と坐り込める十兵衛を見かけて源太にずっと通られ、あわてて火鉢の前に請ずる
機転の遅鈍も、正直ばかりで世態を知悉まぬ姿なるべし。 十兵衛は不束に一礼して重....