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檐
「檐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
檐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
った月の光が、いざよいながら、残っている。が、その門の下は、斜めにつき出した高い
檐《のき》に、月も風もさえぎられて、むし暑い暗がりが、絶えまなく藪蚊《やぶか》に....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
そのあたりには無数の骨や羽が累々《るいるい》と積みかさなっていた。千枝太郎は笠の
檐《のき》も隠されるほど高い枯れすすきを泳ぐように掻きわけて、そこらにうず高い骸....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
雨ぐらいの用意はしている。駅前の俥は便らないで、洋傘で寂しく凌いで、鴨居の暗い
檐づたいに、石ころ路を辿りながら、度胸は据えたぞ。――持って来い、蕎麦二|膳。で....
「海異記」より 著者:泉鏡花
の身のまわりへさ、銀の鰹が降ったっけ、やあ、姉さん。」 と暮れかかる蜘蛛の囲の
檐を仰いだ、奴の出額は暗かった。 女房もそれなりに咽喉ほの白う仰向いて、目を閉....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
駈けあがった。城上の墻には手がかりがないので、かれは足をもって仏殿の柱を踏んで、
檐さきに達し、さらに椽を攀じて百尺の楼閣に至った。実になんの苦もないのである。太....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
て行った。 明くる朝になって見ると、彼が立っていた所には、二、三羽の鵝鳥や鴨が
檐下に投げ落されていた。それを煮て食った者もあったが、その味は普通の鳥と変ったこ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
にくれて、よんどころなく彼を出してやったが、どうなることかと案じていると、やがて
檐の瓦を踏む音がして、彼は家根から飛び下りて来たので、獄卒は先ずほっとして、ふた....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
と無暗に嘔きました。それから夜の更けるのを待って、二階の窓からそっと抜け出して、
檐づたいに丞相の府内へ忍び込みましたが、その時には俳優が舞台で用いる付け髯を顔い....
「春昼」より 著者:泉鏡花
の石段を。」 一面の日当りながら、蝶の羽の動くほど、山の草に薄雲が軽く靡いて、
檐から透すと、峰の方は暗かった、余り暖さが過ぎたから。 降ろうも知れぬ。日向へ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
でふわりと浮くと、蝋燭が灯を点じた。二つ三つまた五つ、灯さきは白く立って、却って
檐前を舞う雪の二片三片が、薄紅の蝶に飜って、ほんのりと、娘の瞼を暖めるように見え....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
い雨が一日しとしとと降り暮らして、影のうすい電灯がぼんやりとともる頃になっても、
檐の雨だれの音はまだ止まない。わたしは炉の前で姉夫婦と東京の話などをしていると、....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
ょうか。」と、お兼はまた訊いた。 延津弥はやはり黙っていた。小さい庭にむかった
檐さきの風鈴が夜風に音を立てているばかりで、二人の沈黙は暫くつづいた。 ....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
人の跫音冴えし、それも時過ぎぬ。坂下に犬の吠ゆるもやみたり。一しきり、一しきり、
檐に、棟に、背戸の方に、颯と来て、さらさらさらさらと鳴る風の音。この凩! 病む人....
「銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
、見るもの悉く白きが中へ、紅き石竹や紫の桔梗を一荷に担げて売に来る、花売爺の笠の
檐に旭日の光かがやきて、乾きもあえぬ花の露|鮮やかに見らるるも嬉し。鉄道馬車は今....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
次の住居、方二|間余、屋根・四壁等皆板張り、この辺の山小屋としてはかなりの作り、
檐端に近き小畠の大根は、立派に出来ている、東は宮川池に注ぐ一条の清流。嘉門次は炉....