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檜扇
「檜扇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
檜扇の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
れてある。そのような怖ろしい場所へ立ち寄るなどと思いも寄らぬことでござりまする」
檜扇《ひおうぎ》に白いおもてをかくして立ち去ろうとする彼女を、泰親はかさねて呼び....
「明暗」より 著者:夏目漱石
等分に見較《みくら》べた。
「今時分そんなものを出してどうするんだい」
お延は
檜扇《ひおうぎ》模様の丸帯の端《はじ》を膝の上に載せたまま、遠くから津田を見やっ....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
だがと話し合った一月前《ひとつきまえ》も思い出された。聖書と関係の薄い余にさえ、
檜扇《ひおうぎ》を熱帯的に派出《はで》に仕立てたような唐菖蒲は、深い沈んだ趣《お....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
緋の袴を穿いていた。そうして上着は十二|単衣であった。しかも胸には珠をかけ、手に
檜扇を持っていた。 男の年頃は二十一、二で、どうやら女の兄らしかった。その面が....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
の正面に揖して出づれば、神官、威儀正しく彼処にあり。土器の神酒、結び昆布。やがて
檜扇を授けらる。これを受けて、席に帰って、緋や、萌黄や、金銀の縫箔光を放って、板....
「祭」より 著者:寺田寅彦
入れた手水鉢で手洗い口すすいで霊前にぬかずき、わが名を申上げて拍手を打つと花瓶の
檜扇の花びらが落ちて葡萄の上にとまった。いちばん御拝の長かったは母上で、いちばん....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
何処と云って変わった点はなかったけれども、人形がそれぞれに一つ――例えば、官女の
檜扇には根付、五人囃しが小太鼓の代りに印伝の莨入れを打つと云った具合で、そのむか....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
偶然フローラは、一枚の木版画で日本という国を知ったのであった。 それには、顔に
檜扇を当てた、一人の上※が、丈なす髪を振り敷いて、几帳の奥にいる図が描かれてあっ....
「九条武子」より 著者:長谷川時雨
八重の緋ざくらか、樺《かば》ざくらともうしあげましょう。五《いつ》ツ衣《ぎぬ》で
檜扇《おうぎ》をさしかざしたといったらよいでしょうか、王朝式といっても、丸いお顔....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
納言殿……。こよいも時刻をたがえずに、ようぞまいられた。これへ……これへ……。(
檜扇にてさしまねけば、蟹は縁の下へ這い寄る。)余の方々はなんとされた。つねよりも....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
に見えるだけである。 その代りに、重盛の燈籠とか、景清の観音像とか、太刀とか、
檜扇とか、緋おどし、卯の花のよろいとか、それらの物が、一堂の夕闇をモザイクして、....