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檜皮
「檜皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
檜皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
老婆は、あわただしくふり返った。見ると、年は六十ばかりであろう。垢《あか》じみた
檜皮色《ひわだいろ》の帷子《かたびら》に、黄ばんだ髪の毛をたらして、尻《しり》の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
《にお》っている築地《ついじ》の上から白髪頭《しらがあたま》を露《あらわ》して、
檜皮《ひわだ》の狩衣《かりぎぬ》の袖をまくりながら、推しても御門を開こうとする私....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中に蹲《うずくま》っている人間を見た。
檜皮色《ひわだいろ》の着物を着た、背の低い、痩《や》せた、白髪頭《しらがあたま》....
「連環記」より 著者:幸田露伴
こで保胤は是非無く御答え申上げた。斉名が文は、月の冴えたる良き夜に、やや古りたる
檜皮葺の家の御簾ところどころはずれたる中に女の箏の琴弾きすましたるように聞ゆ、と....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
堂の姫の影を幻に描いた。 すぐその御手洗の傍に、三抱ほどなる大榎の枝が茂って、
檜皮葺の屋根を、森々と暗いまで緑に包んだ、棟の鰹木を見れば、紛うべくもない女神で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
廊、釣殿、梅の壺、桐壺、まがき壺に至るまで、百種の花を植ゑ、守殿十二間につくり、
檜皮葺《ひはだぶき》にふかせ、錦を以て天井を張り、桁、梁、木の組入には、白銀黄金....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
持主の味酒神社は大山祇の神を祭ったもので、久しい以前から唯一神道でいて、社は皆|
檜皮葺《ひわだぶき》、神官も大宮司と称して位も持っており、その下にも神官が数々居....
「源氏物語」より 著者:紫式部
築山の木が被害を受けて枝などもたくさん折れていた。草むらの乱れたことはむろんで、
檜皮とか瓦とかが飛び散り、立蔀とか透垣とかが無数に倒れていた。わずかだけさした日....
「源氏物語」より 著者:紫式部
っていた東の座敷の中の柱を、だれかに取られてしまう気のするのも悲しかった。姫君は
檜皮色の紙を重ねて、小さい字で歌を書いたのを、笄の端で柱の破れ目へ押し込んで置こ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
に美しい。同じ白といってもただ白い一方でしかない、目に情けなく見える単衣に、袴も
檜皮色の尼の袴を作りなれたせいか黒ずんだ赤のを着けさせられていて、こんな物も昔着....
「雪の宿り」より 著者:神西清
かったままの棟木の端や生木の大枝が、雨あられと落ちかかって参ります。やがて寝殿の
檜皮葺きのお屋根が、赤黒い火焔をあげはじめます。お軒先をめぐって火の蛇がのたうち....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
神明造、千木が左右に付いている。正面中央に階段がある。その階段を蔽うようにして、
檜皮葺の家根が下っている。すなわち平入の様式である。社の大いさ三間二面、廻廊があ....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
ふち取られた山科街道。上手には新らしく掘られた空堀、築きがけの土塀、それを越して
檜皮葺きの御影堂の棟が見える。新築の生々しい木肌は周りの景色から浮き出ている感じ....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
番の北で、旗のような形をしている半島であります。そこの大畑村|小目名という村に「
檜皮細工」があります。これで物入や籠や鉈鞘など、山や野で用いる色々の品を拵えます....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
れ、てんてこ舞いな姿だった。雨のないのがまだ見つけもので、木の葉まじり、大屋根の
檜皮までが空に黒いチリのつむじを描きぬいている。 こんなところへの頻々な取沙汰....