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「櫛比〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

櫛比の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
つける頃は、大概の火事は灰になって居る。人家が独立して周囲に立木がある為に、人家櫛比の街道筋を除いては、村の火事は滅多に大火にはならぬ。然し火の粉一つ飛んだらば....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、金花糖屋、更に夏なれば虫屋、風鈴屋、簾屋、茣蓙屋、氷屋、甘酒やなど、路の両側に櫛比して店を拡げ、区劃を限って車止めの立札の植てられる頃より、人出は夜と共に弥増....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
プトの女王ナズリ陛下、イタリアは皇甥スポレート侯爵。こうした方々が、白壁の小家が櫛比するこの狭衝の町、また、イラクのバグダットと肩をならべる世界一暑い首府の――....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、いつか知らぬうちに、茫々たる薄野原は早くも尽きてしまって、いつのまにか両側は櫛比《しっぴ》した町家になっている。そのまた町家が、いずれも熟睡時間だから、戸を....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
軒灯がななめによろめいて、ちょうど理髪屋みたいな、土間だけの小店が細い溝をなかに櫛比している。そして、その一つ一つの入口に、今朝はだし密生している。ばいろ・ある....
北支点描」より 著者:豊島与志雄
さな堂が、※突泉の隣りにある。民衆の信仰あつく、参詣の人は絶えず、廟前には小店が櫛比して、浅草の仲見世の観がある。面白いのは、或る時祈願の道士に呂純陽の姿が、顕....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
草の雷門、蔵前、本郷の四丁目における如く、小中心点があって、その付近は各種の商店櫛比して、あらゆる設備をなし、互いに繁栄を競いつつある。しかるに電車という交通機....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
り減った日和下駄の歯が、危うく滑りそうになる。 いまの軽井沢は、文化風の建物が櫛比して賑やかな都会となっているが、そのころはまだ北佐久郡東長倉村の一集落で、茅....
丸の内」より 著者:高浜虚子
と、はじめて宏壮な建物を迎えて、何となく愉快な感じがするであろう。(宏壮な建物が櫛比してあるといい度いが、場所によるとそれ程にはいかぬ。上野からはいって来た方面....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
、晴れの日には雪駄、雨には唐傘と、すべて嫖客の便を計って陰陽の気の物をひさぐ店が櫛比《しっぴ》しているところから江戸も文久と老いてさえ、この辺は俗に照降町と呼ば....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
水|湛として窪みに溜りをりて臭気紛々として人に逼る、そのくせ大通にあつては両側に櫛比せる商戸金色|燦爛として遠目には頗る立派なれど近く視れば皆芝居の書割然たる建....
間人考」より 著者:喜田貞吉
皇別 間人造 間人宿禰同祖誉屋別命之後也。 左京神別中 間人宿禰 神魂命五世孫玉櫛比古命之後也。 と見えている。この最後のものは、前引の天神本紀に天玉櫛彦命は....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
りさまは、東洋第一の要港たるの名に背かず。海上より岸頭を望むに、四階、五階の洋館櫛比せるが、焼余の廃屋のごとくに見ゆるは奇観なり。これ、家屋の前面はシナ式に構造....
公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
れでも幾日めか、幾月めか、海の上に漂った暁には、燈火の美しい、人影が動く、建物の櫛比した、にぎやかな港に入ってきて、しばらくはおちつくことができるのだと知られま....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
観音堂裏手の境内が狭《せば》められ、広い道路が開かれるに際して、むかしから其辺に櫛比《しっぴ》していた楊弓場《ようきゅうば》銘酒屋のたぐいが悉《ことごと》く取払....