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「櫛目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

櫛目の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
返《いちょうがえ》しの鬢《びん》のあたりも、まだ濡れているのかと思うほど、艶々と櫛目《くしめ》を見せています。それが濡手拭と石鹸の箱とをそっと胸へ抱くようにして....
草枕」より 著者:夏目漱石
縞《あいじま》の尻切《しりき》り出立《でだ》ちと、陽炎《かげろう》さえ燃やすべき櫛目《くしめ》の通った鬢《びん》の色に、黒繻子《くろじゅす》のひかる奥から、ちら....
黒髪」より 著者:近松秋江
い初夏の宵にふさわしいばらりとした顔であった。匂やかな薄化粧の装いが鮮かで、髪の櫛目が水っぽく電燈の光を反射して輝いている。 女はとうとう並べた物に箸をつけな....
刻々」より 著者:宮本百合子
になって初めてその男とその室の様子とに注意を向けたのであった。 髪をこってりと櫛目だてて分け、安物だがズボンの折目はきっちり立った荒い縞背広を着たその男は、黒....
超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
あの肘の黒いトコを見たら肘鉄を喰わない中に失礼しちゃうわ」 「断髪だってそうよ。櫛目のよく通る日本人の髪を切るなんてイミ無いわ」 「まあ待て待て。脱線しちゃ困る....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
◇ 後頭部に心持ち黄色い白毛が半月型に残っているのを綺麗に櫛目を入れていた。顔は長大で、鼻が西洋人みたように鷲型で、白い眉が房々として、高....
死者の書」より 著者:折口信夫
、よいのだろう。 姫ははじめて、顔へ偏ってかかって来る髪のうるささを感じた。筬の櫛目を覗いて見た。梭もはたいて見た。 ああ、何時になったら、したてた衣を、お肌へ....
魔都」より 著者:久生十蘭
らば、この美しい唇の上に、梅毒の明らかな先駆症状を読み取るであろう。漆黒の長髪を櫛目も見えるほどに品のいいオールバックに撫でつけ、すこしうつむき加減になって香り....
かもじの美術家」より 著者:神西清
げと口ひげの間にどんなふうに畦道をつけるか、捲毛の巻き工合をどうするか、おぐしの櫛目をどう入れるか、そのやり方一つ、そのちょっとした呼吸ひとつで、お顔の表情がが....
女心拾遺」より 著者:矢田津世子
がして、おつねさんが出てきた。 「お帰りあそばせ」 丁寧にこうお辞儀をするその櫛目のはいったばかりの頭髪へ夫人の眼がいった。その眼が徐かに離れの方を見やった。....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
キをついて歩いている。 顎《あご》はいつもきれいに剃ってあるし、髪にはキチンと櫛目《くしめ》がはいっている。散歩に出ると、野の花を襟《えり》に※《さ》したりし....
後の日の童子」より 著者:室生犀星
て出た。童子の好んだ青い扇のような芭蕉は、もう破れた竜旗のようにはたはたと夕風に櫛目を立てていた。 「お父さん、この子はどうしてこう顔色が悪いんでしょうね。」 ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
札幌鉄道局のS君が戸口で、立って帽子を脱った。前額の禿がてらてらと光る。少い髪を櫛目を透かしてぺっとりと撫でつけている。 まだ若い車掌が、切符改めの通りすがり....