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「櫛箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

櫛箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
刺繍」より 著者:島崎藤村
だ。そういう時に成ると、おせんは何をして可《い》いかも解らないような人で、自分の櫛箱《くしばこ》の仕末まで夫の手を煩《わずら》わして、マルを抱きながら、それを見....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
、いくらか羞を含みながら、十七の初島田の祝いのおりに妻籠の知人から贈られたという櫛箱なぞをそこへ取り出して来ておまんに見せた。 「どれ。」 おまんは襷掛けにな....
」より 著者:島崎藤村
を結って了わまいかや」とお種は、炉辺へ来て待っている髪結を呼んで、古風な鏡台だの櫛箱だのを新座敷の方へ取出した。 「三吉。すこし御免なさいよ」とお種は鏡の前に坐....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
はついに髪を解いて、そこで自分から片はずしの髷《まげ》を結ってみようとしました。櫛箱《くしばこ》を出して鏡台に向ったお君の面《かお》には、銀色をした細かい膏《あ....
」より 著者:金子ふみ子
いる。 二人は何かしきりに話し合っていたが、そのうち叔母は立ち上って押入れから櫛箱を出して来た。 「これにしましょうか」叔母はそのうちの一つの櫛を取って見まわ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちらのお雪ちゃんの取乱した書き物、縫物のほかに、屏風の外へ急に突きやったらしい、櫛箱《くしばこ》、耳盥《みみだらい》、そんなようなものが眼に触れると、北原はなん....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
その面を撫で廻す指先に光る剃刀と、それから、なおよく見ると、その座右に置いてある櫛箱《くしばこ》です。それもこれも――この男がわざわざ持って来るはずはないと咎《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
めかけ》の浅吉に出逢いました。 浅吉は、気の抜けたような面《かお》をして、手に櫛箱《くしばこ》を提げながら、通りかかって来たものですから、 「浅吉さん、どちら....
源氏物語」より 著者:紫式部
。源氏が髪の乱れたのを直していると、非常に古くなった鏡台とか、支那《しな》出来の櫛箱《くしばこ》、掻《か》き上げの箱などを女房が運んで来た。さすがに普通の所には....
源氏物語」より 著者:紫式部
して宮は御本意を遂げようともあそばさないのである。女房は皆移転の用意に急いで、お櫛箱、お手箱、唐櫃その他のお道具を、それも仮の物であったから袋くらいに皆詰めてす....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
氏は金貨の財布もあったことを承認しているが、しかし、それは夫人の私室ではなくて、櫛箱の中にあったと言っている。それはどうも信じ難い気がする。なぜなれば、ワトソン....
」より 著者:森鴎外
と立って戸口へ出た。 「まあお茶も上げないうちに」と云いさして、投げるように櫛を櫛箱に入れたお玉が、見送りに起って出た時には、末造はもう格子戸を開けていた。 ....
治郎吉格子」より 著者:吉川英治
ら、素人浄瑠璃のビラなどが、辻便所ほど貼りつけてあって、そのまえに、油染みた桐の櫛箱や、鬢だらいなどをすえつけて、今、一人の客の髪を結い上げているのが、親方の仁....