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欠かす
「欠かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
欠かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
商売《あきない》をするのじゃ。わしが腕かぎり働いたら、お前たち親子の暮らしには事
欠かすまい。宮仕えなどして何になる。結局は地下《じげ》で暮らすのが安楽じゃ。第一....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
。 今日は清の手紙で湯に行く時間が遅くなった。しかし毎日行きつけたのを一日でも
欠かすのは心持ちがわるい。汽車にでも乗って出懸《でか》けようと、例の赤手拭《あか....
「新生」より 著者:島崎藤村
子が身二つに成るまでの一切の入費に宛《あ》てて来たし、外国から留守宅への仕送りも
欠かすことは出来なかったし、義雄兄から請求して来た節子の手術に要する費用も負担せ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ参禅しはじめたのが三十歳前後のことであったと申します。それから五年の間、一日も
欠かすことなく、気息を調え丹田《たんでん》を練り、ついに大事を畢了《ひつりょう》....
「李陵」より 著者:中島敦
れた元狩《げんしゅ》以後|元鼎《げんてい》へかけての数年を除いては、ここ三十年来
欠かすことなくこうした北辺の災いがつづいていた。霍去病《かくきょへい》が死んでか....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
では、弥太兵衛と云う七十九になる爺様が一人居て、これは五十年|以来、いかな一日も
欠かす事なく、一昼夜に三度ずつこの鐘を打っていた。 山沢、花は人の目を誘う、水は....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
と時代の「認識」とを与えることにするそうだ。講師には云うまでもなく、僧侶と軍人は
欠かすことが出来ない。教育家と財政家即ちブルジョアの技術的番頭も欠かせない。行く....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
こしらえた十字架や、ジャン・ミシェルが好んでいた花などをもって来る。決してそれを
欠かすことがなく、しかも人知れずするのである。 ルイザは時々、クリストフを墓参....
「中里介山の『大菩薩峠』」より 著者:三田村鳶魚
とは全く書かいでもと思う話なので、参禅してどうなったかというと、「五年の間一日も
欠かす事なく、気息を調へ丹田《たんでん》を練り、遂に大事を畢了《ひつれう》しまし....
「城」より 著者:カフカフランツ
た。あの人は父を大いにほめあげることから始めました。父を組合の誉れ、後進の手本、
欠かすことのできない組合員と呼び、父の退職は組合をほとんど破滅させてしまうだろう....
「判決」より 著者:カフカフランツ
でも、年をとれば、身体をいたわる権利があるというものです。お父さんはぼくの商売に
欠かすことのできない人です。それはお父さんだってよくご存じのはずですね。でも、も....
「澪標」より 著者:外村繁
私達の生活は尋常のものではなかった。長男は北海道の大学へ行っている。毎月の送金を
欠かすことはできない。二男は都大生である。三男と長女は高校生である。四男は中学生....
「赤い土の壺」より 著者:田中貢太郎
父を滅してからは、美濃の守護として得意の絶頂に立っていたが、夏の間は水浴を一日も
欠かすことができないので、この数年来、夏が来ると密にこの別院に隠れて、冷たい清水....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
荷の祠を建て、自身京に上りて正一位の神階を請けて帰り、それよりは日々一枚の油揚を
欠かすことなく、手ずから社頭に供えて拝をなせしに、のちには狐|馴れて近づけども遁....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
毎日、午すこし過ぎると、江戸千家へ茶の稽古に、なにがし検校のもとへは琴の稽古に、
欠かすことなく通っていた。 きょうも。――その時刻に。 お縫は、門を出て、薬....