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「欠け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

欠けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
さえある。自分は、思わず下を向いた。その時の能勢の顔を見るだけの勇気が、自分には欠けていたからである。 「そいつは適評だな。」 「見ろ。見ろ。あの帽子を。」 「....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
そこからなんとも言いようのない、異様な臭気が、もれるらしい。 枕もとには、縁の欠けた土器《かわらけ》がたった一つ(底に飯粒がへばりついているところを見ると、元....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
ていた。ただ、咄嗟《とっさ》の際にも私の神経を刺戟したのは、彼の左の手の指が一本欠けている事だった。私はふとそれに気がつくと、我知らず眼をその手から外《そ》らさ....
」より 著者:芥川竜之介
ぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾《いかん》ながらこの問に答を与える明が欠けていた。 ――人間の心には互に矛盾《むじゅん》した二つの感情がある。勿論、....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
セメントがとれたのではないかと思った。けれども指先に出して見ると、ほんとうの歯の欠けたのだった。自分は少し迷信的になった。しかし客とは煙草《たばこ》をのみのみ、....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
る中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時....
星座」より 著者:有島武郎
をした)乱暴はよせよ。……貴様の議論には、その議論を統一する哲学的背景がまったく欠けてるんだ。軽薄な……」 「何が軽薄だ。軽薄とは貴様のように自分にも訳の判《わ....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
かないことを知りはじめた。その生活といい、実行といい、それは学者や思想家には全く欠けたものであって、問題解決の当体たる自分たちのみが持っているのだと気づきはじめ....
弓町より」より 著者:石川啄木
。「ああ淋しい」と感じたことを「あな淋し」といわねば満足されぬ心には徹底と統一が欠けている。大きくいえば、判断=実行=責任というその責任を回避する心から判断をご....
婦系図」より 著者:泉鏡花
年必ずそこへ避暑する。一門の栄華を見よ、と英臣大夫妻、得意の時で、昨年は英吉だけ欠けたが、……今年も怪しい。そのかわり、新しく福井県の顕官が加わるのである…… ....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
やはり昔からの先入的な意見の抵抗があり、またいろいろな研究者間に協力ということが欠けていたためにあまりはかばかしくはゆかなかった。その後この障害が消失し、同時に....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ているかというと、はなをひくか、あの、泥石の紙の盤で、碁を打っていたんですがね。欠けた瀬戸火鉢は一つある。けれども、煮ようたって醤油なんか思いもよらない。焼くの....
黒百合」より 著者:泉鏡花
のある、その隣家の荒物屋で駄菓子、油、蚊遣香までも商っている婆さんが来て、瓦鉢の欠けた中へ、杉の枯葉を突込んで燻しながら、庭先に屈んでいるが、これはまたお雪とい....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
数にある。獄舎制度も面白くないが、教育制度も甚だ面白くない。まるきり心霊の知識を欠ける人類は半盲人である。到底|碌な考えの浮ぶ筈がない。私は衷心から、日本国民よ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
さを案じて、急心に草を攀じた欣七郎は、歓喜天の御堂より先に、たとえば孤屋の縁外の欠けた手水鉢に、ぐったりと頤をつけて、朽木の台にひざまずいて縋った、青ざめた幽霊....