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欺く
「欺く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
欺くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
を駆った。
彼の念頭には、沙金がある。と同時にまた、次郎もある。彼は、みずから
欺く弱さをしかりながら、しかもなお沙金《しゃきん》の心が再び彼に傾く日を、夢のよ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
彼の身辺を窺《うかが》っている。彼は放埓《ほうらつ》を装って、これらの細作の眼を
欺くと共に、併せてまた、その放埓に欺かれた同志の疑惑をも解かなければならなかった....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
立っていかなければならなかったのと、父その人があまり正直であるため、しばしば人の
欺くところとなった苦い経験があるのとで、人に欺かれないために、人に対して寛容でな....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
行を※《お》わりたりしは、一時に垂《なんな》んとするころなりき。白昼《ひるま》を
欺くばかりなりし公園内の万燈《まんどう》は全く消えて、雨催《あまもよい》の天《そ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
わらず、お前は頑固にもお前自身を欺いて、それを精進と思っていた。そしてお前自身を
欺くことによって他人をまで欺いていた。 お前はいつでも心にもない言行に、美しい....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
胸に響いた……畳の波に人魚の半身。 「どんな母さんでしょう、このお方。」 雪を
欺く腕を空に、甘谷の剃刀の手を支え、突いて離して、胸へ、抱くようにして熟と視た。....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
じいわ。」 寂しく微笑むと、掻いはだけて、雪なす胸に、ほとんど玲瓏たる乳が玉を
欺く。 「御覧なさい――不義の子の罰で、五つになっても足腰が立ちません。」 「う....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
情ありげな背負揚が解け、襟が開け緋が乱れて、石鹸の香を聞いてさえ、身に沁みた雪を
欺く肩を、胸を、腕を……青大将の黒い歯が、黒い唾が、黒い舌が。―― 糸七は拳を....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
んとする、瞬間に異ならず。 同時に真直に立った足許に、なめし皮の樺色の靴、宿を
欺くため座敷を抜けて持って入ったのが、向うむきに揃っていたので、立花は頭から悚然....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
憎、沙魚、海津、小鮒などを商う魚屋がなくって困る。奥さんは何も知らず、銑太郎なお
欺くべしじゃが、あの、お松というのが、また悪く下情に通じておって、ごうなや川蝦で....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
。その節あんな芭蕉はなかっけ。」 と言う。 目覚しいのは、そこに生えた、森を
欺くような水芭蕉で、沼の片隅から真蒼な柱を立てて、峰を割り空を裂いて、ばさばさと....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
宇野浩二は聡明の人である。同時に又多感の人である。尤も本来の喜劇的精神は人を
欺くことがあるかも知れない。が、己を
欺くことは極めて稀にしかない人である。 の....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、姉さん被りの手拭を取って、額よりは頸脚を軽く拭いた。やや俯向けになった頸は雪を
欺く。……手拭を口に銜えた時、それとはなしに、面を人に打蔽う風情が見えつつ、眉を....
「山吹」より 著者:泉鏡花
冷静に聞くのみ。) 夫人 先生。(番傘を横に、うなだれて、さしうつむく。頸脚雪を
欺く)宿の男衆が申したのは、余所の女房という意味ではないのです。(やや興奮しつつ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
したのに、にわかに居なくなったとおっしゃるが、実とは思われません。と言解様の我を
欺くとも思われねば、得三は疑い惑い、さあらんには今しがた畦道を走りし婦人こそ、籠....