歌声[語句情報] »
歌声
「歌声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歌声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
っ突きの|玉転がし場からも響いてくる。婦人の、キラキラかがやくまっ白な胸、脂粉、
歌声、ルーレットの|金掻き棒の音。二人が、内部のキャバレーへはいると、パッと電気....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
りの童女の時のような何事も華やかに珍らしい気分になって行った。突然華やいだ放胆な
歌声が耳に入った。クララは首をあげて好奇の眼を見張った。両肱は自分の部屋の窓枠に....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ッ!」かしらをあげると、井筒屋は大景気で、三味の音がすると同時に、吉弥のうわ気な
歌声がはッきりと聴えて来た。僕は青木の顔と先刻車から出た時の親夫婦の姿とを思い浮....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
外はもう霜でも下りそうな暗さであるのに、中には煌々と電灯が輝き、酔っぱらいの高い
歌声が、聞えてきた。僕は生れつきアルコールに親しめない性質であったから、今までに....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
の独唱が始まった。客席はすっかり静まりかえって、ジュリアの鈴を転ばすような美しい
歌声だけが、キャバレーの高い天井を揺すった。 「どうもあの正面の円柱が影をつくっ....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
賑やかに往来していた病舎を一人二人と去って行くにつれて、今までは陽気でさえあった
歌声も、何故か妙にいじけた寂しいものになって来て、わけても風の吹く夜などはいたた....
「恭三の父」より 著者:加能作次郎
が出るので有名な所である。六平の女房は淋しい淋しいと思いながら行くと向うの方から
歌声がするので非常に吃驚した。そしてそれが恭三の父であったので尚更驚いた。恭三の....
「フランダースの犬」より 著者:菊池寛
らでただ、ところどころ戸の隙間から細いあかりがもれているだけでした。酔っぱらいの
歌声がどこかで起って、そして消えて行きました。しんとしずまりかえった中に、風だけ....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ちとが、人魚だけのもっているやさしい歌のふしでおどっていました。こんなうつくしい
歌声が、地の上の人間にあるでしょうか。あのいちばん下の人魚のひいさまは、そのなか....
「明日」より 著者:井上紅梅
言って、活きた竜、活きた虎のように跳ね起きて遊びにゆくに違いない。 隣の老拱の
歌声はバッタリ歇んで咸亨酒店は灯火を消した。單四嫂子は眼を見張っていたが、どうし....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
ろくさくさえ思われた。彼等は四度手を換えた時、ようやく趙荘がぼんやり見え出して、
歌声もどうやら聞えて来た。幾つかの火は舞台の明りか、それともまた漁りの火か。 ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
しちや……」 こんな会話が、きびしく澄みきつた空気のなかを、アルトとソプラノの
歌声のように流れた。 「革命」という言葉を口にした時、彼女が、ひとりでに力をこめ....
「秋深き」より 著者:織田作之助
テリックになにごとか叫んでいた。 夕闇が私の部屋に流れ込んで来た。いきなり男の
歌声がした。他愛もない流行歌だった。下手糞なので、あきれていると、女の
歌声もまじ....
「城」より 著者:カフカフランツ
きから――しかし、このざわめきもじつはざわめきではなく、遠い、遠い声が歌っている
歌声のようだったが――このざわめきから、まったくありえないようなやりかたでただ一....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
かせることは人の知る通りであり、確かにこの交響曲のほとんど全部が自然のいろいろな
歌声とささやきで編み上げられているともいえる。多くの美学者たちが、自然音の模倣描....