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歌枕
「歌枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歌枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
のですよ。いずれその内に、御眼にかけようとは思っているんですが――安田さんは絵本
歌枕《えほんうたまくら》と云うものを御覧になった事がありますか。ありません? 私....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
飛騨の位山は、平安朝の婦人が書き残したものにも「山は位山」とあるように、昔から
歌枕としても知られたところである。大野郡、久具野の郷が位山のあるところで、この郷....
「無題(一)」より 著者:宮本百合子
祖母に教えられてその住む村から七里西にある水の青い山の紫な乙女の頬の美くしい国へ
歌枕さぐりに行くんです。細《コマカ》い小さい雪はかたまって大きい形になって落ちて....
「辞書」より 著者:折口信夫
った。だから日本では、歌のうえのことばを早くから覚えさせている。枕ごと、あるいは
歌枕というようなものを覚えさせている。平安朝の文学をみると、随所にその俤がみえる....
「錦木」より 著者:宮本百合子
口で有る。 「先代をくわしく知るものはないがなんでも都の歌人でござったそうじゃが
歌枕とかをさぐりにこのちに御出なさってから、この景色のよさにうち込んで、ここに己....
「真間の手古奈」より 著者:国枝史郎
しぞ思ふ――業平朝臣の有名な和歌は申すまでもないことでありますが、八ツ橋は名高い
歌枕の土地ゆえ、この外にいろいろ有名な和歌が、うたわれていることでございましょう....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
。箱根の関はいずちなりけんと思うものから問うに人なく探るに跡なし。これらや歌人の
歌枕なるべきとて 関守のまねくやそれと来て見れば 尾花が末に風....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
《こっけい》頓智《とんち》の妙《みょう》を能く了解したる事、並《ならび》に絵本『
歌枕《うたまくら》』と題せし秘戯画中には歌麿が自身の肖像と覚しきものを描きたる事....
「松園女史の思い出」より 著者:金子薫園
げとものごしをもっていた。その声は高貴な金属的のさやかに徹ったひびきであった。「
歌枕をたずねてお越しになったのですか」この一言が、相対して間もなく女史の私への挨....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
気はかろし、 揺れ揺れ、帆綱よ、空高く…… 私の今度の航海は必ずしも物の哀れの
歌枕でも世の寂栞を追い求むる風狂子のそれでもなかった。ただ未だ見ぬ北方の煙霞に身....