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歓楽境
「歓楽境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歓楽境の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
を心得ているアリ・ババとさらに違いはない。その呪文が唱えられた時、いかなる未知の
歓楽境がお君さんの前に出現するか。――さっきから月を眺めて月を眺めないお君さんが....
「蠅男」より 著者:海野十三
しても突き止めねば、再び東京へかえらないと心に誓った青年探偵帆村荘六は、身はいま
歓楽境宝塚新温泉地にあることさえ全く忘れ、全身の神経を両眼にあつめて疎林の木立の....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
るように、進んで行った。その路は、そう思わせるほど、暗く淋しかったのだ。この夏の
歓楽境K――に、こんな寂とした死んだようなところがあるのか、と思われるほど……、....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
々が、忙しそうに又|長閑そうに、往くさ来るさしているではないか。 無理もない!
歓楽境なのだから。 だから往来の片側には、屋台店が並んでおり、見世物小屋が立っ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
えば、化物屋敷めいて聞こえはするが、決してそのようなものではなくて、一種の下賤の
歓楽境なのであった。水戸様の建築の用材の石を、積み重ねておく置き地があったが、空....
「一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
フェーへだとて、飲料《のみもの》がほしければはいりそうなものであるが、若い人の、
歓楽境のようにされてるそうしたところへは、女人《おんな》はまず近よらない方がいい....
「魔都」より 著者:久生十蘭
の大レビュー団の豪華絢爛に眼のあたりに接し、居ながらにして紐育《ヌウ・ヨルク》の
歓楽境に遊ぶ思いが出来ようというのだからこれぐらいの人気が湧くのも無理はないが、....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
景色は、こうした寺方の墨一色の世界とは比ぶべくもなく多幸な多彩なこの世ながらの大
歓楽境のようおもわれないわけにはゆかなかった。いまの環境がいっそう何とも彼とも取....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
おりだが、これはまさしく現実に活動し、匍匐し、生殖し、吼哮する海獣の、修羅場の、
歓楽境の、本能次第の、無智の、また自然法爾の大群集である。 ぎゃお、わお、がお、....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
町に足を踏み入れると、忽ちそこは純然たる下町気分の狭斜のちまたであり、柳暗花明の
歓楽境に変じているのであるが、その山の手式の気分と下町式の色調とが、何等の矛盾も....