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止り
「止り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
止りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
しご》を上《あが》りかけると、声はもう一度お蓮を捉《とら》えた。彼女はそこへ立ち
止りながら、茶の間《ま》の暗闇を透かして見た。
「誰だい?」
「私。私だ。私。」....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
始めはそう思ったのです。所がいくら番の兵士の数をふやしても、妃たちの子を生むのは
止りません。
――妃たちに訊《き》いてもわかりませんか。
――それが妙なので....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
始は水の泡のようにふっと出て、それから地の上を少し離れた所へ、漂うごとくぼんやり
止りましたが、たちまちそのどろりとした煤色の瞳が、斜に眥《まなじり》の方へ寄った....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
》におとなしくなって跡からついてゆく。 内廊下を突抜け、外の縁側を右へ曲り、行
止りから左へ三尺|許《ばか》りの渡板を渡って、庭の片隅な離れの座敷へくる。深夜で....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
。その現場へ行ってみよう。 これはまた何という無惨なことだ。――そこはもう行き
止りらしい地底の小室だった。一人の男が、虚空をつかんでのけ反るように斃れている。....
「春昼」より 著者:泉鏡花
小児を、坊やとも、あの児とも言うにこそ、へつらいがましい、お坊ちゃまは不見識の行
止り、申さば器量を下げた話。 今一方からは、右の土器殿にも小恥かしい次第でな。....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
を満しますに、手間の入ること、何ともまだるい。鰯を育てて鯨にするより歯痒い段の行
止り。(公子に向う)若様は御性急じゃ。早く彼が願を満たいて、誓の美女を取れ、と御....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、妙な手ざわりの紐で、千二の体をぎゅうぎゅうしめつけるのであった。そのうちに息が
止りそうになった。
「ああっ!」
もうだめだと思った。天狗岩の上で、変な怪物に....
「怪塔王」より 著者:海野十三
いる床は、どんどん下って、やがて十四五メートル下のまっくらな部屋へおりていって、
止りました。どうやら、三階から一階へおりたらしいのです。 「あっ、止った」 「ま....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
だどこか人の知らない所に行って静かな死にでものがれたい。どこへ向いて行っても行き
止りは死だ。早かれ遅かれ死だもの。どうにでもなれというような気にもなった。もう毎....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
ついて歩きました。二人は長い道を歩きました、やがてお百姓は一軒の宿屋の戸口に立ち
止りました。看板には「イタリイの星」と書いてありました。 二人は大きな部屋へは....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
煎豆の音、氷屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の西瓜日を視るの想あり。半ば渡りて立
止り、欄干に倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて涼しさを加え、いずこともな....
「錦紗」より 著者:犬田卯
店があるが、その手前まで来たとき、お通は思いきり端折っていた裾を下ろすために立ち
止り、帯の間へ手をやった。そしてふと、そこに挟んであるはずの蟇口をさらにしっかと....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
胃壁を刺して下って行く。……打倒れました。息も吐けません。きりきりと腹が疼出して
止りません。友だちが、笑いながら、心配して、冷飯を粥に煮てくれました。けれども、....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
る。山道にはところどころに清水が湧き出ているが、こうした処にゆくと馬はきまって立
止りゆっくり水を飲む。せきたてられてもぶたれても、別にあせる模様もなくどこまでも....