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止揚
「止揚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
止揚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
《むじおもて》、裏模様《うらもよう》」の渋味、すなわち趣味としての渋味は、甘味を
止揚したもので、第三段たる「合」の段階を表わしている。
四「いき....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
最近ロマンの本質が評論家の問題になっているが、今いった面白さは将来社会においても
止揚されて伝承される処であるかも知れない。 『文学評論』(三六年七月)の「馬鹿野....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
いるだけでは連句は決して成立しない。それらの相反するものが融合調和し相互に扶助し
止揚することによって一つの完全なる全体を合成し、そうして各因子が全体としての効果....
「科学論」より 著者:戸坂潤
ルベルト)とになって現われている。直観主義の神秘説と形式主義の機械論の矛盾対立を
止揚し得るものは、他ならぬ弁証法であるべきだが、今日の数理哲学はまだ之を実証する....
「技術の哲学」より 著者:戸坂潤
とが出来ないばかりでなく、技術の一応の曲りなりの発達さえが資本主義の危機・矛盾の
止揚の方向へ導く結果を有つのではなくて、あたかも却って逆に、愈々その危機・矛盾そ....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
連続する。理論甲が歴史的に理論乙へ運動したのである。併し之は理論の歴史的に如何に
止揚し得たか、の説明にはまだならない。例えば一つの思想の或る意味での階級性を指摘....
「イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
から天降って来ることは出来ない。丁度資本主義は資本主義自身の用意した契機によって
止揚されねばならないように、この二つの矛盾物は、それ自身の力関係の内から矛盾の解....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
異にする。前者が自然史的に発展することによって、その内部の諸モメントが具体化され
止揚されて、後者の内部の諸モメントとなる。両者は機械的に同一共軛関係を有たねばな....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
私の意味に於ける類ではない。……それが個の否定的対立を媒介として類の絶対的統一に
止揚せられた特殊即普遍の絶対否定態でないことは明かである。……種は絶対媒介の立場....
「外来語所感」より 著者:九鬼周造
術語などは明治以来諸先輩の努力によって殆どすべて翻訳され尽している。範疇、当為、
止揚、妥当などというむつかしい言葉も今日ではもう日用語になりきってしまった。哲学....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
してくることは珍しくない。そしてその復活は元のままのくりかえしではなく必ず新しく
止揚されて、現段階に再登場しているのだ。その二千五百年間の人間の倫理思想の発展と....
「カントと現代の科学」より 著者:戸坂潤
的実在論的考え方と哲学的批判的考え方とがあるとすればこの対立が学の発達の暁に於て
止揚されるという望みは少いであろう。前者は後者なくしても少くとも自然科学を実際に....
「悲願に就て」より 著者:坂口安吾
き破るということが決して単純に習慣の反対を行うことではないだろう。正、反、合とか
止揚とかいう単純な法則が数十世紀の虚妄と真実との複雑なカラクリをかけた我々の精神....
「美術学校時代」より 著者:高村光太郎
大いに読んでいた。それが初めは文学的彫刻となってあらわれ、後にはその文学的彫刻を
止揚するために詩歌に近づいた。俳句などもやり、角田竹冷先生からは一等を貰ったりし....
「挙国一致体制と国民生活」より 著者:戸坂潤
を譲って了った。この挙国一致なるものは、所謂自由主義者と自由主義反対者との相剋を
止揚したものではなくて、前者を後者へ
止揚して了うことなのだ。だから実は相剋の
止揚....