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正坐
「正坐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
正坐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家庭の幸福」より 著者:太宰治
夫人は末の小さいお嬢さんをだっこして、そう教えている。 中学一年の男の子は、
正坐して、そうしてきちんと両手を膝《ひざ》に置き、実に行儀よく放送の開始を待って....
「風の便り」より 著者:太宰治
戸一郎様 一枚の葉書《はがき》の始末に窮して、机の上に置きそれに向ってきちんと
正坐してみても落ち附かず、その葉書を持って立ち上り、部屋の中をうろうろ歩き廻って....
「虚構の春」より 著者:太宰治
円すこしで買いました。書斎の机上に飾り、ひさしぶりの読書したくなって、机のまえに
正坐し、まず机の引き出しを整理し、さいころが出て来たので、二、三度、いや、正確に....
「癩」より 著者:島木健作
すぐに点検の声がかかる。戸に向って瘠《や》せて骨ばった膝《ひざ》を揃《そろ》えて
正坐する時には、忘れてはならぬ屈辱の思いが今さらのようにひしひしと身うちに徹して....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
て、お得意の俳句を提出する事になり、二、三日前から鉛筆を耳にはさみ、ベッドの上に
正坐して首をひねり、真剣に句を案じていたが、けさ、やっとまとまったそうで、十句ば....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
は、山林|家蔵椽の下の糠味噌瓶まで譲り受けて村|中寄り合いの席に肩ぎしつかせての
正坐、片腹痛き世や。あわれ室香はむら雲迷い野分吹く頃、少しの風邪に冒されてより枕....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
をたたむ、板の間を掃く、雑巾をかける。そうする中に看守が「礼ッ!」をかける。皆々
正坐して頭を下げる。「千九百九十号」「千八百五十三号」などと番号を呼び立てる。「....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
どんな偉い人物か見当もつかない悠々たる奥深さがある。目をつぶって、いかにも平和に
正坐している。ほかの人々も目をつぶって坐っていた。 まもなくドッと音が起って、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
まり彼には勝手になっていたからである。長時間坐っているのには、あぐらを組むよりも
正坐が好ましい。合理的でもある。鶴見はそう思って、机に向うときはいつも
正坐をする....
「地上」より 著者:島田清次郎
い男は喫みさしの紙巻を灰の中に埋めてから、「永井です、宜しく」と言った。平一郎は
正坐して、こうして仲間入りをした人達の話に聴きとれようとした。 「――どうしても....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
弟子が来て、そろそろ稽古が始まることになった。 私は部屋の隅の方へチョコナンと
正坐りどんなことをするかと見ておりますと、やがて、お袋さんが地を弾き出すと、その....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
なすとは、一切の衆生、生盲に非るよりは、目有る徒、皆日没を見よ。当に想念を起し、
正坐し西に向ひて、日を諦らかに観じ、心を堅く住せしめ、想を専らにして移らざれ。日....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
我が家へ持って帰りました。 それから、私は、右の観音を安置して、静かにその前に
正坐りました。そして礼拝しました。多年眼に滲みて忘れなかったその御像は昔ながらに....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、色いと白く肉置き好く、髪房やかに結いたるが、妖艶なることはいわむ方無し。美人は
正坐に堪えざりけん、居坐乱して泣きくずおれ啜り上げつつ独言よう、「ああ悪人の手に....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
観察していたものと見える。傍にはこれもその連れのもういい年輩のHさんが長者らしく
正坐して、またこちらを眺めている。HさんはF君と同じS市の人で、同じく札幌の農科....