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「正客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

正客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
長はたいていの夜は田川夫妻の部屋《へや》に呼び迎えられた。田川博士はもとより船の正客である。それをそらすような事務長ではない。倉地は船医の興録《こうろく》までを....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
というような心づかいの細かさはあらわれていた。カションの案内で、通禧らはその晩の正客の席として設けてあるらしいところに着いた。パアクスの隣には醍醐大納言、ファル....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
儀よく据えられている。のみならず、総てを飲込んだ落付きで、この憐れな、まごついた正客に眼をくれようともしないではないか。 正隆は、両面攻撃に逢ったような、頼り....
微笑」より 著者:横光利一
った家の門を這入った。そこが技師の自宅で句会はもう始っていた。床前に坐らせられた正客の栖方の頭の上に、学位論文通過祝賀俳句会と書かれて、その日の兼題も並び、二十....
旅愁」より 著者:横光利一
害せぬためであろう全面純白な装いの中に、壁だけ横に細い金線が入っていた。客たちは正客の塩野を先にし、自然に年寄りを高座へ押しすすめながら、それぞれ年に応じた席を....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
ーランで開いた時の事である。食卓で幹事の指名かなんかでテーブルスピーチがあった。正客の歌人の右翼にすわっていた芥川君が沈痛な顔をして立ち上がって、自分は何もここ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
す。 「今晩は、間の山の玉でございます、有難うございます」 縁側の前で、お玉は正客の若侍の方と、取巻きの連中の方へと御挨拶を申し上げます。 「間の山のお玉か、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
しているところへ、島田先生が見えられたのでございます」 「なるほど」 「その日の正客《しょうきゃく》は島田先生で、お相客《あいきゃく》も五六人ほどございました、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お取持に向い、 「御案内によりお相客として、われらも罷《まか》り出でましたが、御正客の只今、おっしゃる通り、行手にこのような大きな山があっては、越そうにも越され....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
か》んにすることになりました。 会場は、湯島の千本屋《せんぼんや》。 当日の正客は、安直と、金十郎。 安直先生も、今日は、いつものマアちゃんとは違うぞとい....
樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
やうにの給ふ。我料理は甚だ得手なり殊に五もくずし調ずること得意なれば、近きに君様正客にしてこの御馳走《ごちそう》申すべしと約束したりき。さるにてもその手づからの....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
い達、孫たちが多く集まった。尾道市の長老として名のある祖母の弟新助翁が本家として正客であった。親戚の一人が祝詞を朗読して、 百平(父の名)氏温厚玉の如く、義母に....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ひらく。俳句はぼくよけで、実は、大切な商談の会。 顧問格の、仁科という西洋通を正客にまねき、最近の西洋事情やら外国船の来航の日取りをきく。 たがいに識見を交....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
るについての祝宴であると松尾氏|起って一場の趣意|挨拶を述べられ、私が会頭の次の正客で、盛大な宴会が開かれることであった。 吉原から選り抜きの芸妓が大勢来てい....
樹氷」より 著者:三好十郎
ら、いくらちっちゃくとも親父の息子だ、なあ喜助。 喜助 おうとも、今日はこやつが正客だい、飲め飲め―― お豊 だってお前さん―― 金太 プウ、ウマウマ、ウマウマ....