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正札
「正札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
正札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
とかいうような物凄いのが驚くべき多数に上っている。 商売の巻 最新式「無言の
正札」 或る哲学者がこんな事を云った。 「おかめとヒョットコの小さなお面を背中....
「丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
た冷笑の影が自分に不思議な興奮を与えた事も思い出される。あのころには書物の値段は
正札でなく一種の符徴でしるしてあった。もっともその符徴はたいていだれでも知ってい....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ていそうに見えた。 この店の女房が、東京ものは清潔ずきだからと、気を利かして、
正札のついた真新しい湯沸を達引いてくれた心意気に対しても、言われた義理ではないの....
「露肆」より 著者:泉鏡花
張出した三方へ、絹二子の赤大名、鼠の子持縞という男物の袷羽織。ここらは甲斐絹裏を
正札附、ずらりと並べて、正面左右の棚には袖裏の細り赤く見えるのから、浅葱の附紐の....
「まじょりか皿」より 著者:寺田寅彦
歩いた。呉服屋には美しい帯が飾ってあった。今日ちらと見た紙屋の娘の帯に似ている。
正札を見ると百二十円とあった。絵葉書屋へはいったら一面に散らした新年のカードの中....
「蜂が団子をこしらえる話」より 著者:寺田寅彦
である。いつか三越の六階で薔薇を見ていたら、それにもちゃんとこの虫がついたままに
正札をつけてあるのを発見して驚いた事がある。専門家でもこれを完全に駆除するのは困....
「雑記(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
の前に洋酒の並んだラック塗りの飾り棚の代りには縁台のようなものが並んで、そこには
正札のついた果物の箱や籠や缶詰の類が雑然と並んでいた。昔は大きな火鉢に炭火を温か....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
取って、ちょうちんの明かりで調べて、それを母親にわたすと、母親は小さなはさみで、
正札を切り取って、かくしの中に入れた。これがわたしにはきみょうに思えたし、それと....
「青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
ところで、御主人、日曜にロンドン見物に来た田舎者の帽子じゃああるまいし、青物屋の
正札が入れ違ってるなあ、一体どうした訳なんです? でなけりゃ、私にもはっきりして....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
に、雪靴に、金と赤のイヴニングシューズまで寄せて一円五十銭也と括りの紐の結び目に
正札で下って居ます。――嘘ではないの、こんなに安く売っては儲からないでしょう。 ....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
相当なる品物を取扱ったために、権威もあり信用もあったのである。そして商品に対して
正札制を確立したので、客は安心して買うことが出来るようになった。 一般小売店で....
「映画雑感(Ⅶ)」より 著者:寺田寅彦
しさおもしろさを認識することができるというのであろう。換言すれば、月並みな陳套な
正札付きの真実よりも、うそから出た誠にかえってより多くのより深き真実を見いだすこ....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
うやく息を納めてから問うた。 「俺は本当の天狗だ。天狗にもいろいろあるが、俺のは
正札付きの天狗だ。ただし昔話にある羽団扇を持った、鼻の高い、赤い顔の、あんなので....
「錦紗」より 著者:犬田卯
、やだ、お前ら二人で早く行け。」 「みものだわよ、どれを取っても十銭均一、なんて
正札ぶら下げて行くのも。」 これはお民である。 二人の友達は、どんなことがあ....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
「ちょいと、この指輪、見せて下さらない?」と云った。 店員は五千八百円という
正札を、ぶらりと下げているその指輪を陽子に渡し、なおそのほか気に入りそうなのを五....