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「正視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

正視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
交錯する赤、青の光線が思い切ってはだけた多鶴子の白い胸を彩っていた。多鶴子の顔が正視出来ないので、豹一は自然胸のところばかり見ていたが、赤く染められた胸の静脈が....
深夜の市長」より 著者:海野十三
が曲り、早く云えば著しい猫背だった。そのとき五燭ぐらいの薄明りに、始めて彼の顔を正視したが、それはへちまのように長い顔だった。灯のせいもあるであろうが、顔色は黄....
階段」より 著者:海野十三
が切れないのかな、と思った。 すると今度は階段の下からまた一人、僕としては最も正視するに耐えない「袴の無い若い職業婦人」が現われた。その欄へ一本のブルブル震え....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
重病者「大東京」のむごたらしい姿が、曝露しようとしている。白光の下に、その惨状を正視し得る市民は、何人あることであろうか。 暁の偵察 昭和十×年五月十五....
赤外線男」より 著者:海野十三
の小壜などが、花火のように空中に乱舞する。いやその化物屋敷のような物凄い光景は、正視するのが恐ろしく、思わず眼を閉じて、日頃|唱えたこともなかったお念仏を口誦ん....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
らし。死にまさる苦と辱を受けよというにあるなればなり。妻泣く。そして元気を失う。正視にたえざるも、仕方なし。ようやく納得す。われ既に「大義」につく覚悟を持ち居り....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
でつけたものであろう、顔から頭へかけて物凄い掻傷が煮凝のような血を吹き、わけても正視に堪えぬのは、前額から頭蓋へかけてバックリ開いた大穴から、なんと脳味噌が抜き....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の図読法は、とうてい否定し得べくもなかったのである。ところが意外なことに、やがて正視に復した彼の顔には、みるみる生気が漲りゆき酷烈な表情が泛び上った。 「判りま....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
慢な人々も、すべて空虚な空気に過ぎなかった。ラザルスがそばを通ると、誰もその顔を正視する者もなかったが、その重い足音がまったく聞こえなくなると、かれらは宮殿の奥....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
椅子のなかで一生を終るだろうが、そうして、ただ呼吸をし、ぼんやりと見るまきの様は正視の出来ないものだ。刑罰か――死ぬに死ねない、惨苦を味わいながら余生を送らねば....
カメラに関する覚え書」より 著者:伊丹万作
さないだけの熱意を持つことが望ましい。 これだけの仕事の幅と深さを謙虚な気持で正視している人ならば、おそらく無反省に自分の仕事の分野の拡大を喜ぶということはあ....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
な顎を内へ引いて髭はなく、鼻の根の両脇に瞳を正しく揃え、ごく僅か上眼使いに相手を正視するという態度でした。左の手はしょっちゅう洋袴のポケットへ入れていましたが、....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
ので、明日子が喜んでそれを許したのかどうかは分らなかったのだ。接唇後も彼女の顔を正視することも出来ず、彼女の言った言葉も聴えなかった位だが、とにかくその時ぼくは....
俗臭」より 著者:織田作之助
っさと出て行ってもらおう」 「あっ」という様、政江は身震いを始めた。彼女の様子は正視するに忍びないものがあった。大袈裟にいうと、ウェーヴした髪の毛が更に大きく波....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
震え、落ち着きのない不安な眼で、絶えず四辺に気を配っている容子は、迚も痛ましくて正視するに忍びませんでした。年の若い、人の善さそうなこの男を、こうまで恐怖のどん....