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「此の人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
人が有る、イヤ詣でたか詣でぬかは知らぬが、様子有りげに墓の前にたたずんで居るが、此の人は女でない。三十四五歳に見ゆる立派な紳士だ。 余の足音を聞き、悪い所を見....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
が、その多数は既に死に絶えて、僅かに生き残っているのは此の数人に過ぎない。どうか此の人々の口から政宗公以来伝わって来た舟唄の一節を聴いて貰いたいとのことであった....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
城でさえ、そろそろ自分の軽挙が悔まれてきた。と云うのは、勿論|鎧通しを握って、|此の人を見よ――とばかりにのけ反りかえっている、紙谷伸子の姿体だったのである。そ....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
を最後の戦場として父子主従たった三人になる迄吉川軍と決戦して遂に倒れてしまった。此の人こそ、厳島合戦に於ける悲劇的英雄である。 これで厳島合戦も毛利軍の大勝に....
極楽」より 著者:菊池寛
早く死ねよがしに扱われるものだが、おかんはその点でも、立派であった。一家の者は、此の人のよい、思いやりの深い親切な、それで居て快活な老婦人が、半年でも一年でも、....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
――はい、はい、気を付けますよ。抱き堪えのあるお嬢さん――。」 ジャネットは此の人混みにあおられるとすっかり田舎女の野性をむき出しにしてロアール地方の訛りで....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
。円朝は明治三十三年八月、六十二歳を以て世を去ったのであるから、私は高坐における此の人をよく識っている。例の「牡丹燈籠」や「|累ヶ淵」や「塩原多助」も聴いている....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
を浴びて白く立っているばかりで、川らしい水明かりは見当らなかった。 どこまでも此の人たちと連立って行くことは出来ない。私はもうここらで引っ返そうと思いながら、....
バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
かも世界中から集って来る。偉い人も偉くない人もある。或人は一目見ると直ぐ、ハハア此の人は偉いぞとわかる。だが時としては皆目見当のつかない人もある。とにかく人間と....
母と娘」より 著者:岡本かの子
。イボギンヌの家庭は愛想のよい御両親の外に女学校二年生の妹が一人あるの。これから此の人達を家庭教師にしてフランス語の練習です。 六月七日 第二信(巴里にて) 昨....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
沢山東洋的のものを持ってるように思うんですが日本のお方にはどう見えますか。それに此の人の漫画のユニークなところも欧洲人の持前のものと違って消極的な苦いものがある....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
とうに可哀そうだねえ。」と、お葉も共に嘆息した。親戚も無し、職業も無し、金も無い此の人が、これから他国を彷徨いて、末は何うなることであろう。何時までも乞食をして....
憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
。俗に之を護法実と謂ふ。七日に至り東堂の庭に居らしめ、満山の衆徒盤環呪持すれば、此の人忽ち狂躍を示し、或は咆吼忿嗔して状獣属の如く、力大磐を扛ぐ。若し触濁の人あ....
忘れられたる感情」より 著者:小川未明
のものが、今は、眼底に灰色なものとなってうつるからといって此の世界が灰色であり、此の人生が灰色でなければならぬと思うものは少なかろうと思う。 曾て、子供の時分....
寺町」より 著者:岩本素白
られて居るのである。潔癖、意地、凝り、渋み、そういう江戸の伝統を伝えたといわれる此の人の、これが最後の註文の一つであったかと思ったのは、私もまだ年の行かない頃の....