此の手[語句情報] » 此の手

「此の手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俘囚」より 著者:海野十三
に済んだにちがいない。あたしの不運が人殺しをさせたのだ。といって人殺しをしたのは此の手である。この鏡に写っている女である。もう拭《ぬぐ》っても拭い切れない。あた....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
、余は此の様な手袋は見た事が無い、飾り気の少しも無い総体の身姿にも不似合だ、何か此の手袋で隠して居るのでは無かろうかと此の様な気がして成らぬ、併し問い試ねる訳に....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
て今は聴いても何の役にも立たぬことなのであるが……。 四月九日細田弓之助 私は此の手紙を読んで呆然としました。私が十七歳のときに胸の病で別れた美しい姉がこんな....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
あると、墨はみんな散ってしまいます。」 刺青師が無分別の若者を扱うには、いつも此の手を用いるのだそうです。この論法で、きょうも不可ない、あしたも不可ないと云っ....
易と手相」より 著者:菊池寛
、金に不自由しなくなるなどとは、夢にも思っていなかった。それが、十年後の今日に、此の手相見の言葉が悉く適中したと云ってもいゝだろう。身上に起った事変なども、手相....
小田原陣」より 著者:菊池寛
の氏直は氏政の子であって此の時の責任者だ。氏直を入れて、後北条は五代になるのだ。此の手切文書を受けとった氏政は、是を地に擲って弟の氏照に向い、一片の文書で天下の....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
い物が手に入った」 と懐へ入れて詰所へ帰り、是から同役と交代になります。 大「此の手紙をいつぞは用に立てよう」 と待ちに待って居りました。彼の春部というもの....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
て放さないから、新三郎も手拭の上からこわ/″\ながらその手をじっと握りましたが、此の手を握るのは誠に愛情の深いものでございます。お嬢様は手を握られ真赤に成って、....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
て殺す気か、痴けた奴だ、左様なる事をすると武田へ云ってしくじらせるが何うか、これ此の手を放さぬか/\」 と云いながら十三間の平骨の扇で続け打にしても又市は手を....
一九五〇年の殺人」より 著者:海野十三
人の親分が本庁に到着したのは五分の後だった。 「二人揃ったネ。揃ったら、そのまま此の手術室へ入れッ」 「なにをするんです、課長さん」 「罰金は二、三日うちに届け....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
窓から波が入って来て、ザンブリと被った。 コロンボへはあさって着く、コロンボで此の手紙を投凾する。ペナンでは、停泊の時間が少なくて、手紙を出す事が出来なかった....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
だ…」 由「打積んだは恐れ入った、まるで荷物の取扱いだ」 幸「向に土蔵があって、此の手摺などの構えはてえしたものだ……驚いたねえ、馬方さんが斯ういう蔵持の馬方さ....
「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
走りすぎる様な様子をして其の文を車の内へなげ入れて行ってしまった。小宰相殿は「今此の手紙を車の内になげ込んだのはどんな人でしたか」と御たずねになったけれ共、お供....
母と娘」より 著者:岡本かの子
国語を教え合い意見を交換すると言うのである。アグネスも此のクラブの会員であった。此の手紙はスルイヤ、アグネス母娘の感情のもつれを少し離れて冷静な立場から考えさせ....
」より 著者:岡本かの子
の手を見詰めて居るうちに、二十年前の二人の少女時代の或る場面を想い出した。京子が此の手の指で、薄ら埃の掛っている黒塗りのピアノの蓋を明けたことを想い出した。 ―....