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「此の方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
音楽の終ると共に手取り早くパッと燈光を消して満堂を元の暗にして結局を附けた、寧そ此の方が厭味が無くて好いと客の半分ほどは止むを得ずお世辞を云った、仲々お世辞の言....
夜の隅田川」より 著者:幸田露伴
的には、ちと叶わないようなものである。同理別法で櫂釣というのを仕て居る人もある、此の方が多く獲れる。鉤を用いて鰻の夜釣をして居る人もある。時節によって鱸を釣ろう....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
番人があって、銘々下足を預けて上るのに、懐へ入れて上る奴があるものか、是には何か此の方に意趣遺恨があるに相違ない」 喜「いえ意趣も遺恨もある訳じゃねえ、お前様に....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
かり一つ極ると、驚いて逃げる所を又|打殴ったんだか、まア宜い塩梅で……お前さんは此の方のお父さんで」 山「えゝ何うも恐入りました、只今は然ういうお身形だが、前々....
連環記」より 著者:幸田露伴
ころが、火の傍へ寄れば少くとも髭は焼かれるから、誰しも御免|蒙って疎み遠ざかる。此の方を疎みて遠ざかれば、余分に彼方を親み睦ぶようになる。彼方に親しみ、此方に遠....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
宛は単純な絹紐だよ。所が、中の八本は本物の小道具なんだ。土蜘蛛の糸にはもう二十年此の方、電気用の可熔線を芯にして使っている。しかも、その中の一本には極く太目のも....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
両足と或る器官を失ってしまったからなので御座います。然し不思議な事には、それ以後此の方に、竜樹菩薩の化影が現われるようになりました」 「それは庵主、この太腿で、....
扉は語らず」より 著者:小舟勝二
である。毎朝倉庫の扉を開放するのも彼の役目だったから万々疑ぐられることはない――此の方法に依れば、全然勤務成績に影響を及ぼすことがない―― 「だが、宿直員の店内....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
で且つ謂わゆる温健な、エレン・ケイの特徴なのである。従って、本間久雄君のように、此の方面からのみしかも極くまずく民衆芸術を説くとなると、頗る妙なものが出来上るわ....
キド効果」より 著者:海野十三
実は僕の研究の結論なのです。キド現象を現す Fig. 5 の方を抹殺して、代りに此の方を皆さんにお薦めしたいのです」 「なんですって?」課長は目を見張って駭いた....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
(門内へ入る) 阿闍梨『今更言うても由ないことだが、首二つの引換え料とは、ありゃ此の方の切ない苦肉の親切から、出来ぬ難題を持ちかけ、今暫らく影像を、此の方に預っ....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
尻押しをしているからであった。大熊老人の鼻息の荒いもう一つの理由は、老人は三十年此の方、独身であり、そのうえ老人には一人の子供も無論孫も無い、全くの孤独者であっ....
ある日の午後」より 著者:小川未明
、生活の為に働いているのであろうと感じたからであった。 私は新聞の問題よりも、此の方に多くの注意を惹いた。而して其の後此の家に注目したが、未だこの家の主らしい....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ホンの心ばかりで」 といわれ萩原束は怒気|面に現われて、 束「此奴愚弄致すな、此の方も武士でござる、イヤサ拙者を三文や四文の銭を貰いに参った乞食と心得て居るか....
春の大方山」より 著者:木暮理太郎
四つに分れ、孰れも荒廃しているので選択に迷った。田部君は沢について上って行った。此の方が楽で、松本君と私とは、雑木に交って木苺、バラ、棒ダラなど、刺のある灌木の....