此の辺[語句情報] » 此の辺

「此の辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
か畑か判らぬところ五六丁を過ぎ、薄暗い町を三十分程走って、車屋は車を緩めた。 「此の辺が四ッ谷町でござりますが」 「そうか、おれも実は二度ばかり来た家だがな、こ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
人間は正直者ですよ」と、兼松は答えた。「そこで、親分。今の話の様子じゃあ、ゆうべ此の辺で人間の死骸を運んだ奴があるらしゅうござんすね」 「むむ。まんざら心当たり....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
闇を突っ切って行かなければならなかった。この間の晩、煙草屋の娘が災難に逢ったのも此の辺だろうと思いながら、彼女は婆さんを急《せ》き立てて歩いてくると、積んである....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来るんです。慌てて有り合わせた物を栓にさしたが、どうも巧く行かない。ふだんならば此の辺に何かの船が通る筈ですが、あいにく夕方でほかの船も見えない。そのうちに水は....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、取りあえず東両国の橋番小屋へ駈け着けて、舟を出してもらいました。 おおかた此の辺であったかと思った所を探してみると、果たして新らしい早桶が引き揚げられまし....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ましたので、ちょっとお話をいたして置きましたが……」 長五郎というのは四谷から此の辺を縄張りにしている山の手の岡っ引である。長五郎がもう手をつけているところへ....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
人知れず或る女を殺したり、活動写真を撮影したりすることも不可能となって来るから、此の辺も尚不審である。 赤羽主任は考え疲れて、頭がフラフラするのを覚えながら、....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
建物があった。今しも、そこの扉が、外に開いて、背の高い若い男が姿を現わした。 「此の辺一帯は、うまく助かって、実に幸運でしたね」そう云って、後を振りかえった。 ....
四条畷の戦」より 著者:菊池寛
踴躍して飛び込むと、早くも師直は本営を捨て、北方、北条村に退かんとして居る。恰も此の辺は沼沢地であり、走るに不便だ。追うこと暫くして、其の間半町、将に賊将を獲ん....
小田原陣」より 著者:菊池寛
して威嚇に努めて居るが、城内は泰然としてビクともして居ないのである。 そろそろ此の辺から、戦いは持久戦になって来た。秀吉も攻めあぐんだ。小田原評定なんて云う言....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
いのを逸作はよく知って居る。かの女が仮想に楽しむ――巴里に居る独息子が帰ったら、此の辺へ家を建てて遣ろうか、若しくはいっかな帰ろうとしない息子にあんな家、斯んな....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
源右衛門の住家。牡蠣殻を載せた板屋根、船虫の穴だらけの柱、潮風に佗びてはいるが、此の辺の漁師の親方の家とて普通の漁師の家よりはやや大型である。庭に汐錆び松数本。....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
の好みに合わなかったと見え、待ちぼけを食う運命ばかりに遭遇して了ったよ。 と、此の辺で話題を変えよう。 さて僕達は野村氏に率いられて第七世路の角にある大世界....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
宝であった。それを手に入れたいばかりで、彼は厳重なる警官の眼を潜りつつ、今日まで此の辺を漂泊っていたのである。而も其の希望の光は今や消えた。 「俺ア矢ッ張り乞食....
六日月」より 著者:岩本素白
て、その一ツ下の通りを南に向いて歩いて行く。上の高台寺そのものをも入れて、すべて此の辺りは下河原町になって居るのである。煙草屋、荒物屋など暗い寂しい店に交って、....