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「此の際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此の際の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
いで、此家に来たことを今更悔いる心持がするは、自分ながら訳が解らなかった。しかし此の際|咄嗟《とっさ》に起った此の不安の感情を解釈する余裕は固《もと》よりない。....
余が翻訳の標準」より 著者:二葉亭四迷
わないように、常に其の人になって書いて行かぬと、往々にして文調にそぐわなくなる。此の際に在ては、徒らにコンマやピリオド、又は其の他の形にばかり拘泥していてはいけ....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
を出すのだよ、上の室でアレの動く音でも聞こえたのだろう」アレとは何であろうと余は此の際疾《きわど》い場合にも怪しむのを耐え得ぬ、医学士「ウム例のか、動きなど仕や....
四条畷の戦」より 著者:菊池寛
たと解す可きだろう。時|恰も鎮西に於ける官軍の活動も活溌であった。正行にすれば、此の際東西相呼応する大共同作戦も胸中に描いて居たらしい。併し何としても敵は十数ヶ....
新ハムレット」より 著者:太宰治
言葉のように、としをとったものと見えます。なるほど、いやな噂が、もう一つあった。此の際に、そのほうだけを騒ぎ立て、ご自分の不仕鱈な噂のほうは二の次にしようとなさ....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
柢を用意しているものであることを、忘れてはならぬ。 だが宗教化とは何か、或いは此の際の宗教とは何を指すか。或る種の批評家はマルクス主義さえが一つの宗教だという....
善蔵を思う」より 著者:太宰治
里は、さいわいに黄金色の稲田と真紅な苹果に四年連続の豊作を迎えようとしています。此の際、本県出身の芸術方面に関係ある皆様にお集り願って、一夜ゆっくり東京のこと、....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
局、全体と部分とかいうような空虚な隙だらけの容器に盛られて了う外はない。 だが此の際、意識(個人)の概念も亦、マルクス主義によって、従来のものから根本的に変革....
盈虚」より 著者:中島敦
あり、父たる君に先立って位に在られたのも皆自分の本心から出たことではない。いっそ此の際前衛侯を呼戻し、現太子と其の才を比べて見て優れた方を改めて太子に定められて....
南島譚」より 著者:中島敦
ら逃出さなかったとは、何という愚かなことだったか! 「逃げよう。」と彼は言った。此の際にもまだ逃げるなどという臆病な言い方を彼は用いた。「逃げよう。お前の村へ。....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
までして取戻せとも仰せあるまい。御影像取戻しに就いてはまた折れ合う時節もあろう。此の際、三井寺方の申条に対し瞋恚を抱き、喧嘩、強訴、仕返し、その他何によらず殺伐....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
○座が今度経営困難に陥り米国の富豪某氏所属のデパートとなった。旧劇場附属の人員は此の際大方採用されて、その新百貨店の使用人となった。なかに旧劇場で案内係をして居....
犠牲者」より 著者:平林初之輔
い病院を開業している開業医でありながら、どこか神秘思想家の面影をそなえた瀬川は、此の際私の渇を医するには最も好ましい話相手であった。今度の事件が起ってからも彼と....
神戸」より 著者:古川緑波
。 ひどく薄いな。そして、無造作に、鶏肉のちぎって投げ込んだようなのが、浮身(此の際、浮かないが)だ。 ポタージュの、たんのうする味には、縁の遠い、ほんの、....
富士屋ホテル」より 著者:古川緑波
らない。そして、此の辺から段々むずかしくなる。 チョイスと書いてあるが、無論、此の際、チョイスなどしてはいられない。9の、グリルド・チキンと、10の海老のカレ....