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此の頃
「此の頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
此の頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ず冬という敵に襲われて、先月の末頃から持病の疝気に悩まされていたが、なにぶんにも
此の頃は町内が騒がしくて、毎日のように町《ちょう》役人の寄合いがあるので、彼は出....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ツ半(午後五時)頃に先方の家を出ると、帰り路はもう薄暗くなっていた。春といっても
此の頃の日はまだ短いのに、きょうは朝から空の色が鼠に染まって、今にも白い物がこぼ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えことで、わざわざ来て貰うほどのことでもなかった。ほかじゃあねえが、おまえさんは
此の頃に猫の児をどうかしなすったかえ」 「へえ」と、富蔵は案外らしい顔をした。「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
おかみさんに口説かれて、よんどころなく引き受けてしまったが、ああ悪いことをしたと
此の頃じゃあ切《しき》りに後悔している。世間からはうしろ指をさされ、親たちには苦....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
として誰も彼も猫婆のおまきに反感をもつようになった。近所から嫌われていたおまきが
此の頃だんだんと近所から憎まれるようになって来た。猫はいよいよ其の反感を挑発する....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、なんでも悪いことをしてお仕置になりましたそうで……」 「ふむう、そうか。そこで
此の頃、河童のところへ誰かたずねて来た者はねえか」 六助は少し考えていたが、や....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
頭の金兵衛もひどく心配していたが、幸いにお藤の足の痛みはだんだんに薄らいで、もう
此の頃では馬道へ通わないでも済むようになった。次郎兵衛は店の商売などはどうでもい....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
て生みの母に一度も疑われずに来たというのは随分おかしなことだと思うんですよ。私は
此の頃ではどうやらこの事件の本当の内容が判って来たように思うんです。 私の臆測....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
なにか読者諸君が吃驚するような新しいラジオの話をしろと仰有るのですか? そいつは弱ったな、
此の頃はトント素晴らしい受信機の発明もないのでネ。そうそう近着の外国雑誌にストロ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
と附き合わなかった筈ですよ。」 わたしは黙って聴いていた。そうして、お玉さんは
此の頃どうしているかと訊いた。 「お玉は病院へ行ってから、からだはますます丈夫に....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
ある。喬介は微笑しながら再び語を続けた。 『そして又その男と言うのはだね。恐らく
此の頃|何処か、多分西の方へでも旅行した事のある男だ。どうしてって、ほら君の見る....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
む毎に 切に苦しき我が思かな 今時のアイヌは純でなくなった 憧憬のコタンに悔ゆる
此の頃 アイヌとして生きて死にたい願もて アイヌ絵を描く淋しい心 天地に伸びよ ....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
にある。諧調は偽りである。真はただ乱調にある。 「事実の上に立脚すると云う日本の
此の頃の文芸が、なぜ社会の根本事実たる、しかも今日其の絶頂に達した、此の征服の事....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
に足の踏場もなかったとは次兵衛がよく話していた。あの長篇快作『ドグラ・マグラ』も
此の頃から書き始められたのではあるまいか。 久作さんは又非常な情熱家であった。....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
わりながら、捗々しい矢軍も得せいで、父上の御機嫌さんざんであったを、兄上に頼んで
此の頃ようように取りつくろうたほどの不覚者が、われわれの恋仲を薄々気取ったとて、....