此れ[語句情報] » 此れ

「此れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
つけて、それを誤魔化すために途方もない怪談を作り出したに相違ないと認めた。しかし此れも取り留めた証拠はないので、彼もその場は胸をさすって人々の仲裁にまかせた。な....
臨終まで」より 著者:梶井久
「それ御覧、間違ってるだろう」と看護婦に言います。看護婦は妙な顔をして居ました。此れ等の打合せをしようにも、二人が病人の傍を離れる事は到底不可能な事、まして、小....
小田原陣」より 著者:菊池寛
吉は既に此処に移転して、「啼たつよ北条山の郭公」と口吟んで、涼しい顔をして居た。此れが有名な石垣山の一夜城であって、湯本行のバスの中なんかで、女車掌が必ず声を張....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
んだ最終の帰結点だったのだよ。すると、今年に入ってから胎龍の心理に起った変化が、此れで判然説明が付くじゃないか。そして、それが僕の想像する去勢法の行程を辿ってい....
河童小僧」より 著者:岡本綺堂
此処かと棹で探ると、緑伸びたる芦の根に何か触る物がある、扨はと一同立騒いで直ちに此れを引きあげると、思いきや此れは年頃二十三四とも見ゆる町人風の男で、荒縄を以て....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
の掟は、傷ましき別離を要求せねばやまぬのである。ケーベル博士は「結末をつける事、此れ何たる芸術であろう」といっていられる。動きのとれなくなった愛欲関係になおひか....
東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
贈される。(中略)扨それらの雑誌を見ると、殆んど大部分が東京の出版であり、熟れも此れも皆同じように東京人の感覚を以て物を見たり書いたりしている。彼等のうちにも多....
山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
帰った。其とおりはかろうて、そのまま地震の日が来て、忘れたままに、時が過ぎた、と此れが発端である。正の物を見たら、これはほんとうに驚くのかも知れぬが、写真だけで....
日本上古の硬外交」より 著者:国枝史郎
臚寺の掌客裴世清至りて、久しき憶方に解けぬ。季秋薄冷、尊何如。想うに清愈ならん。此れは即ち常の如し。今大礼蘇因高、大礼乎那利等を遣わして、往いて謹白せしむ。不具....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
尖った頤との一対の対面は世にも見事であったろう。その馬面に突きつけられた雑誌が、此れまでサンザ首をひねらせた新青年の夢野久作ものするところの、あの古博多の川端―....
木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
商売を為ていますが、この信州の山奥では時々に不思議な事があります、私共の仲間では此れを一口に『怪物』と云いまして、猿の所為とも云い、木霊とも云い、魔とも云い、そ....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
いうと、諸君は定めて臆病な奴だ、弱虫だと御嘲笑なさるだろうが、私も職業であるから此れまでに種々の恐しい図を見た、悪魔の図も見た、鬼の図も見た、併し今夜のような凄....
火葬と大蔵」より 著者:喜田貞吉
とであろう。 果してしからば続日本紀に、道照和尚栗原の火葬を以て、「天下の火葬此れより始まる也」と書いたのはいかに解すべきか、これは葬送の一つの儀式として、仏....
絶望より生ずる文芸」より 著者:小川未明
触れるにしても直ちに其の物から出来るだけの経験と感覚とを得て生活の充実をはかる、此れが即ち人間のなすべき事であり、又人生であると解する。そして此の心を持って自然....
放免考」より 著者:喜田貞吉
した話を書いてある。 然らばさも為よと云ひければ、男家に死人を持て行きたれば、妻此れを見て其れは何ぞと云へば、男しか/″\の事にて此く思うて持ち来るなりと云ひて....