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「此奴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此奴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
いらっしゃるなア大先生の嬢様でがしょう。飯田町の路地で拝んで、一度だが忘れねえ。此奴等がこの地獄宿へ引張込んだのを見懸けたから、ちびりちびり遣りながら、痴の色ば....
海異記」より 著者:泉鏡花
と、薄黒いのが立っている。 「何だねえ、人をだましてさ、まだ、そこに居るのかい、此奴、」 と小児に打たせたそうに、つかつかと寄ったが、ぎょっとして退った。 ....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
、片側町の、岸の松並木に風が渡った。 「……かし本。――ろくでもない事を覚えて、此奴めが。こんな変な場処まで捜しまわるようでは、あすこ、ここ、町の本屋をあら方あ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
んな事は平気な野郎も、酒樽の三番叟、とうとうたらりたらりには肝を潰して、(やい、此奴等、)とはずみに引傾がります船底へ、仁王立に踏ごたえて、喚いたそうにござりま....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
て、離れて煙管が映る。――もう一倍、その時図体が拡がったのは、袖を開いたらしい。此奴、寝ん寝子の広袖を着ている。 やっと台洋燈を点けて、 (お待遠でした、さあ....
海の使者」より 著者:泉鏡花
溜らず。腕を伸ばしても届かぬ向こうで、くるりと廻る風して、澄ましてまた泳ぐ。 「此奴」 と思わず呟いて苦笑した。 「待てよ」 獲物を、と立って橋の詰へ寄って....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
ひれ伏して、雪女は溶けるように潸然と泣く。 十四 「陰気だ陰気だ、此奴滅入って気が浮かん、こりゃ、汝等出て燥げやい。」 三ツ目入道、懐手の袖を刎....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
おります事、遊君の処を、お早く、どうぞ。」 と、ちらりと遣手部屋へ目を遣って、此奴、お荷物だ、と仕方で見せた。 「分らないな。」 と煙管を突込んで、ばったり....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
み頭を掉って、 「さとからじゃ、ははん。」と、ぽんと鼻を鳴らすような咳払をする。此奴が取澄ましていかにも高慢で、且つ翁寂びる。争われぬのは、お祖父さんの御典医か....
黒百合」より 著者:泉鏡花
高い、可懐しいものであったから、南無三仕損じたか、逃後れて間拍子を失った悪戯者。此奴羽搏をしない雁だ、と高を括って図々しや。 「ええ、そっちを引張んねえ。」 「....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
のあと始末は、半助が赤鬼の形相のままで、蝙蝠を吹かしながら、射的店へ話をつけた。此奴は褌にするため、野良猫の三毛を退治て、二月越内証で、もの置で皮を乾したそうで....
化鳥」より 著者:泉鏡花
っといたら、餓えも凍えもしようけれど、獣でござりますから今に長い目で御覧じまし、此奴はもう決してひもじい目に逢うことはござりませぬから。) とそういって、かさ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
見え、鰯を拾う童も居る。……汐の松の枝ぶり一つにも杖を留めようとする風流人には、此奴あてつけに意地の悪いほど、とっとっと行く。そうでしょう、駄賃を稼ぐための職業....
三枚続」より 著者:泉鏡花
らまでちゃんと探鑿が届いて、五千疋で退治に来たんだ、さあ、尋常に覚悟をしやがれ、此奴等!」 愛吉は痩せたのを高胡坐に組んで開き直る。 「震えるない震えるない、....
活人形」より 著者:泉鏡花
けり。 「月夜に暗殺、馬鹿々々しい、と打笑いつつ泰助は曲者の顔を視めて、「おや、此奴は病院へ来た奴だ。赤城の手下に違いないが、ふむ敵はもう我が来たことを知ってる....