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「此間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

此間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
姪子」より 著者:伊藤左千夫
を着替て改った挨拶などする、十になる児の母だけれど、町公町公と云ったのもまだつい此間の事のようで、其大人ぶった挨拶が可笑しい位だった、其内利助も朝草を山程刈って....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
…束髪の女装をした奴で、名は樫田武平とね、然うだろう?」 「おお、よく御存じで。此間一度、軟派の事件で始末書を取った奴です」 満足そうに同行の部下を顧た赤羽主....
わが町」より 著者:織田作之助
これでたこ梅か正弁丹吾で一杯やろかと増造が誘ったのを、他吉は行かず、 「それより此間貸した銭返してくれ。利子は十八銭や、――なにッ! 十八銭が高い? もういっぺ....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
をとりて詫言申せしゆゑ、久政も黙止しがたく、然らばとて免許ありて差置かれけるに、此間信長陣替の時|丁野若狭守と共に討つて出で合戦し、織田勢あまた討捕りしかども却....
島原の乱」より 著者:菊池寛
この地に伝わった。伝来の年が西暦一五四九年、島原の乱が同じく一六三七年であるから此間九十年近い歳月がある。この長い年月に亙っての、宣教師を始めとした熱烈な伝道は....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ながら答えた。 「然し、関係のある奴に相違ない」 「兎に角出て来る所を押えよう。此間のような目に遭うといけないから、僕は庭の方を警戒しているよ」 「そうだ。今度....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
なって発表して驚かそうというのか、どっちかだろう。道理で中々元気があると思った。此間会った時に、その事をいって呉れゝば、恰度僕の所も家内が妊娠中で、僕の所は初産....
運命」より 著者:幸田露伴
に足らずとして意を文治に専らにし、儒臣|方孝孺等と周官の法度を討論して日を送る、此間に於て監察御史韓郁(韓郁|或は康郁に作る)というもの時事を憂いて疏を上りぬ。....
風流仏」より 著者:幸田露伴
が、旅ほど嚊が可愛うておもしろい事はないぞ、いまだに其頃を夢に見て後での話しに、此間も嫗に真夜中|頃入歯を飛出さして笑ったぞ、コレ珠運、オイ是は仕たり、孫でも無....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
思いはしませんが、併し先生、本当に帰って来て下さいましょうね」 「必ず帰る」 「此間の夜も。しみじみ云いました通り、私が以前に水戸の藤田先生の御存命中に承わった....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
たお手紙は、大師流というのでしょう、大変見事なものでした。 御文ありがたく拝見、此間は御はじめてなるに、まことに御早々にて、失敬いたし候。あとにて、 近からばし....
式部小路」より 著者:泉鏡花
りだったでしょう、」 女房が前へ立って、 「お疾うございましたこと、何は、あの此間から行って見たいッて、おっしゃってでした、俤橋、海晏寺や滝の川より見事だッて....
」より 著者:岡本かの子
ている蓑吉は、折を見つけては姉のいるこの橋場の寮へ遊びに来|度がっている。室子が此間じゅう、一寸風邪をひいたと昨日|言伝けたのを口実に、蓑吉は早速母親にせがんで....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
船『どうも、そうの様だて。鈴では、合せる呼吸を取り損ねる気がして……。』 船『此間、根岸の旦那と、植木やの親方の来ました時、後で大笑いなのです。』 漁『お二人....
わが町」より 著者:織田作之助
これで蛸梅か正弁丹吾で一杯やろかと、相棒が誘ったのを他吉は行かず、 「それより、此間貸した銭返してくれ。利子は十八銭や。――なにッ? 十八銭が高い?」 そんな....