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歩み寄り
「歩み寄り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歩み寄りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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セセッション風に出来上った病院。少年はこちらから
歩み寄り、石の階段を登って行《ゆ》く、しかし戸の中へはいったと思うと、すぐにまた....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
れた相手の一人は、格別跡を追おうともせず、体の雪を払いながら、静かにわたしの前へ
歩み寄りました。
「わたしです。阿媽港甚内《あまかわじんない》ですよ。」
わた....
「河童」より 著者:芥川竜之介
)
クラバックは盛んな拍手のうちにちょっと我々へ一礼した後、静かにピアノの前へ
歩み寄りました。それからやはり無造作に自作のリイドを弾《ひ》きはじめました。クラ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
しあつ》い午後、小説を読んでいた看護婦は突然|椅子《いす》を離れると、寝台の側へ
歩み寄りながら、不思議そうに彼の顔を覗《のぞ》きこんだ。
「あら、お目覚になって....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
は分かりませぬが、女子には希な見事な最期じゃ。 藤十郎 (引き付けられたように、
歩み寄りながら、じっと死顔に見入る。言葉なし)……。 若太夫 (息せきながら、駆....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
、私は深い呼吸を反覆した。 喬介は、被害者野口が墜されたと思われる東北側の隅へ
歩み寄り、腰を屈めてタイル張りの床を透かして見たり外廓を取り繞ぐる鉄柵の内側に沿....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
く取り散らされた気配をさとると、すぐに気をとり直して境の扉口へ恐る恐る爪先立ちに
歩み寄り、足元に倒れた人と見較べるようにして居間の中を覗きこんだ。 そこには、....
「火星兵団」より 著者:海野十三
味のよい部屋だとは言えないね」
そう言って、新田先生は、つかつかと柱時計の下に
歩み寄り、時計の中を見ようとしたが、背がとどかない。そこで、先生は、梯子を探しに....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
の蔭にぞなりたる。ふッと灯を吹消したまい、 「お待ちなさいよ。」 小親わが方に
歩み寄りしが、また戻りぬ。内より枢外す音して、門の戸の開いたるは、跫音もせざりし....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
こには又Hと云う大学生や年をとった女も佇んでいた。彼等は僕の顔を見ると、僕の前に
歩み寄り、口々に僕へ話しかけた。 「大火事でしたわね」 「僕もやっと逃げて来たの....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
る敵意を感じたらしく、その可愛い眼に、殺気を漂わせ、部屋の内にはいって、姉の傍に
歩み寄りながら、 「お姉さま、どうしたの?」と、いって訊いた。 「………」 新....
「火の扉」より 著者:岸田国士
うとしたが、夫はからだをかわすように、つと、自分が手を下して掘つた防空ごうの方へ
歩み寄り、 「やつぱり、これじや駄目だ。お前はどこへ逃げた?」 「もうどこにいて....
「迷信解」より 著者:井上円了
もむろに進み寄りしに、火依然として少しも動く様子なし。ますます沈黙して火のそばに
歩み寄り、急に手をあげて打ち落とし見れば、一片の燐化水素にて、なにも怪しげなるも....
「審判」より 著者:カフカフランツ
っと事を動かすこともできるんです」 「もっともだよ」と、叔父は、今はやっと互いに
歩み寄りができた、というような調子で言った。「わしがそういうことを言いだしたのは....
「公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
ります。その中の白い洋服を着て、眼鏡をかけた一人は、とこなつの花の咲いている前に
歩み寄りました。 「やあ、こんな花がここに咲いているのは珍しい。このとこなつは、....