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「歩一歩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歩一歩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
れないたよりなさを感じてまたはげしく倉地にいどみかかるのだった。倉地は見る見る一歩一歩葉子から離れて行った。そしてますますその気分はすさんで行った。 「きさまは....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
と鞭をくれた。始めは自分の馬の鼻が相手の馬の尻とすれすれになっていたが、やがて一歩一歩二頭の距離は縮まった。狂気のような喚呼《かんこ》が夢中になった彼れの耳にも....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
と電気をかけられたようにしびれていた。ようようの事で君は雪の中から爪先をぬいて一歩一歩本道のほうへ帰って行った。はるか向こうを見ると山から木材や薪炭を積みおろし....
深夜の市長」より 著者:海野十三
誰? 輪太郎が帰って来たのかしら。 僕は苦しい息をつぎつぎ、骨の折れる階段を一歩一歩登っていった。それはジャックが豆の木に攀じのぼるように、長い長い遥かな旅程....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
ピストルを持っているけれど……」 「なーに、平気ですよ」 折井刑事と私とは、一歩一歩用心しながら建物の中に入った。樽の間を探してみたが、何も居ない。――刑事は....
春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
がら、一本の支える木もない急な斜面を見渡すと自らつつしみ深い心になる。雪巡礼の一歩一歩は、乗越に近づいて行った。常念の頂上への斜面は、雪が飛ばされてしまって、岩....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
がさきに立って路をつけて行くと後の者は一列になってその跡を登って行く。急だから一歩一歩眼界が広くなった。前に見える鉢盛山の左手には鋭い山や丸い山の頭が連って見え....
薬草取」より 著者:泉鏡花
と共に、丈なす茅萱半ばから、凡そ一抱ずつ、さっくと切れて、靡き伏して、隠れた土が歩一歩、飛々に顕れて、五尺三尺一尺ずつ、前途に渠を導くのである。 高坂は、悚然....
火星兵団」より 著者:海野十三
士は、そこに立ちながら医者や看護婦の顔色を用心ぶかくじろりじろりとにらみつつ、一歩一歩玄関の方へあるいていった。 新田先生は、けわしい眼つきの蟻田博士を、なだ....
怪塔王」より 著者:海野十三
大喜びで、一彦の手をぐっと握りしめました。 4 帆村探偵と一彦は、一歩一歩怪塔の入口に近づきました。そしてもう一歩で、入口の扉に手が届くというところ....
大空魔艦」より 著者:海野十三
れば、犬もいない。歩きなれない氷上を、一行は小暗いカンテラの灯をたよりにして、一歩一歩敵地にすすんでいった。 夜が明けかかると、一行は大いそぎで氷を掘り目立た....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
つらいところもありましたが、しかしもともとしっかりした、負けぬ気性の方だけに、一歩一歩と首尾よく難局を切り抜けて行きまして、今ではすっかり明るい境涯に達して居り....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
居住者が、自分自身の修行の為めに、求めて手にあまるような難物の指導を引き受け、一歩一歩に向上の進路を切り開くものもある。時とすれば又単なる愛情、又は現世愛の名残....
些細な事件」より 著者:井上紅梅
しかし車夫は老女の言葉を聞くと少しも躊躇せず、そのまま彼女の臂《ひじ》を支えて一歩一歩先へ進んだ。 わたしは不思議に思って前の方を見ると、そこに巡査の派出所が....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ぎ、為に山肌に敷かれた松の落葉や、楢、櫟、榛などの落葉がからからに乾からびて、一歩一歩踏んで行く草鞋をややもすると辷らせようとする。一二尺はおろか時によると二三....