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「歩引〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歩引の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
坑夫」より 著者:夏目漱石
て外に立っているのも、つらくなった。安さんの所へ行って泊めてもらいたくなった。一歩引き返して見たが、あんまりだと気を取り直して、のそのそ長屋へ這入った。横手に広....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
りましたね今夜は何だか気に掛りまして」と言掛けて余が目科の背後に在るを見、忽ち一歩引下り「おゝ御一緒に、今まで珈琲館に居しッたのですか、私しは又用事で外へお廻り....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
びかけられて思わず身を震わしたり。 「浪子さん」 一歩近寄りぬ。 浪子は二三歩引き下がりて、余儀なく顔をあげたりしが、例の黒水晶の目にひたとみつめられて、わ....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
者の怨みの声」を聞き「眼に見えぬ執念の手」に触れられるこの世の外の世界へ、一歩一歩引き込んで行く。 抵抗しようにも相手のない「この世の外の力」……その力はゴン....
獄中記」より 著者:大杉栄
ろうとそれを楽しみに、警察から警視庁、警視庁から検事局、検事局から監獄と、一歩一歩引かれるままに引かれて来たのだが、これで十分に満足させられて、落ちつく先のきま....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
後、「突き」が来る。そこで押し静め、押し静め、盛り返して一歩出た。と、小一郎は一歩引いた。と、集五郎また一歩! と、小一郎一歩退がった。「しめた」と考えた集五郎....
獄中消息」より 著者:大杉栄
真の知識、真の趣味の要求が、はなはだ盛んになっている。僕等が、実際の思想よりも数歩引き下がれば、ちょうどこの要求にもっともよく応ずるものになる。文学も多少僕等の....
丹下左膳」より 著者:林不忘
を発揮する丹下左膳。 ニヤリと、笑った。 「安っ! 離れるなよっ」 左足を一歩引いて空を打たせ、敵の崩れるところを踏みこんで、剣尖からおろす唐竹割り、剣法で....
白い花赤い茎」より 著者:田中貢太郎
小径が尽きて、黄葉した雑木の茂りに突き当った。寡婦の心は周章てて来た。彼女は五六歩引返して、別の小径らしい物を見つけて、右の方に曲って往ったが、少し登るとまた木....
秦の憂愁」より 著者:豊島与志雄
星影がちらほら浮んでいる夜空を仰いで、そこに佇んでしまったのである。 星野は数歩引き返して、彼を呼んだ。彼は返事もしなかった。星野はその肩を捉えた。彼は棒のよ....
近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
田っ」 鈴田の脚元に、小さい土煙が立った。鈴田は、刀を杖に、よろめきつつ、二三歩引返すと、倒れてしまった。 敵の兵は、未だ一町余の下にいた。そして、立木の蔭....
火の扉」より 著者:岸田国士
のちよつとの別れででもあるように、軽く道中の注意を与えたり、近ごろをつかんで二三歩引つ張つていき、やゝ改まつた口調でこう言つた―― 「おれの決心については、お前....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
何をしているだろうか? ルパンは云いしれぬ不安を感じてきたので知らず知らず二三歩引き返した。この時、遠くアンジアンの方面から大勢の靴音が聞え、それが次第に近づ....
祭の夜」より 著者:平林初之輔
気色ばんだ様子をしてあたふた出てきました。 二人の刑事は急ぎ歩《あるき》で二三歩引かえして、 「待てっ」と叫びました。 男はびっくりして、そちらをふり向いた....
」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
れて目を※いて、丁度電にでも撃たれたように、両腕を物を防ぐような形に高く上げて一歩引き下がった。そして口から怪しげな、笑うような音を洩らして、同じ群の外の男等を....