歯の抜けたよう[語句情報] » 歯の抜けたよう

「歯の抜けたよう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歯の抜けたようの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
ら、前日までそこに並べておいたはずの第一号テレビジョン機がなくなって、そのあとが歯の抜けたようにポッカリあいていたから。 (先生はどっかへ持ってゆかれて、送影を....
深夜の市長」より 著者:海野十三
が、いずれも蒼白な面を伏せて、罪人の如くオドオドしていた。市長席は空席で、まるで歯の抜けたような物淋しさを見せていた。――動坂氏は満面を朱にして猛虎の如く吠える....
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
を出ていった。 「いやに病人ばやりだな」と星尾が呟いて、意味なく笑った。 一本歯の抜けたような松山の空席が、帆村の眼に或る厭な気持をよびおこさしめた。それは不....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
から帰路、竹屋町辺まで差しかかると、昨日まで四十何年間も見馴れた小路が、すっかり歯の抜けたようになっていて、兵隊は滅茶苦茶に鉈《なた》を振るっている。二十代に二....
戦場」より 著者:夢野久作
という事を知らないのか! エエッ!」 そういう中にもバタバタと四五人卒倒した。歯の抜けたようになった一列横隊がまたも、アリアリと光弾に照し出された。 ワルデ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《こうさつば》のあたりだけが、安全地帯でもあるかのように、取残されておりました。歯の抜けたような枝ぶりの柳の大樹までが、何の被害も蒙《こうむ》らずに、あの時のま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
方のことです。 最初に宇津木兵馬が触書《ふれがき》を読んだ例の高札場のところ。歯の抜けたような枝ぶりの柳の大樹。 がんりきの百という野郎が、芝居気たっぷりで....
露肆」より 著者:泉鏡花
縦通から横通りへ、電車の交叉点を、その町尽れの方へ下ると、人も店も、灯の影も薄く歯の抜けたような、間々を冷い風が渡る癖に、店を一ツ一ツ一重ながら、茫と渦を巻いた....
科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
。というのは眩しい軒並の夜店が、そこのところだけ二間ばかりも切れていて、そこだけ歯の抜けたように薄暗らかった。彼は学生時代に亡ったD博士とファラデーの暗界の研究....
魔都」より 著者:久生十蘭
ながら、燃えるような眼差で監房の窓を見上げた。 真名古の頭のすぐ上に監房の窓が歯の抜けたような口をアングリと開けている。その口に嵌め込まれた鉄棒が、当時の横着....
頸の上のアンナ」より 著者:神西清
ら家庭教師に出掛けて行った。休みの日には一日じゅう家にいて油絵を描いたり、または歯の抜けたような音色で吼える手風琴を鳴らしたりした。彼はなんとかして素晴しい音色....
黒田如水」より 著者:吉川英治
は子どものように身を隠したがるのである。 虫の秋は深くなった。秀吉の座側は何か歯の抜けたような淋しさだった。官兵衛は努めて、半兵衛のうわさをしないことにしてい....