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歯並
「歯並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歯並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
の笑う度にエナメルのように歯の光るのは見事だったのに違いなかった。しかし僕はその
歯並みにおのずから栗鼠を思い出した。栗鼠は今でも不相変、赤い更紗《さらさ》の布《....
「或る女」より 著者:有島武郎
づけた目のまわりの白粉《おしろい》をぬぐい終わると、口びるを開いて美しくそろった
歯並みをながめ、両方の手の指を壺《つぼ》の口のように一所《ひとところ》に集めて爪....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
げると、ニイッと笑った。 「――やっぱし、靴磨きの方がいいわ」 笑うと、奇麗な
歯並びが印象的に白かった。一寸すが眼気味の眼元がぱっちりとして、薄汚れているが思....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
八橋は明けて十九になろうという若い遊女で、しもぶくれのまる顔で、眼の少し細いのと
歯並みの余りよくないのとを疵にして、まず仲の町張りとしてひけを取りそうもない上品....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
拡げられた大きな口腔のうちには、弾力を喪った舌がダラリと伸びていた。真白な美しい
歯並には、ネバネバした褐色の液体が半ば乾いたように附着していた。 「すっかり事切....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、どうなすったの、そんなところから現われて……」 ジュリアは唇の間から、美しい
歯並を見せて叫んだ。 しかし彼女は、それほど驚いているという風にも見えなかった....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
た。そういうときに妾は奇妙な思いをしたことがあった。それは大口を明いて笑う幼童の
歯並が、或るときは味噌ッ歯だらけで前が欠けていたと思うのに、或るときは大きい前歯....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ら、彼がしきりに笛をふくことを誰もとがめる者はなかった。 むかしから丸年の者は
歯並みがいいので笛吹きに適しているとかいう俗説があるが、この喜兵衛も二月生れの丸....
「小公女」より 著者:菊池寛
の微笑は、男を喜ばしたに違いありません。彼は夕闇のような顔をぱっと輝かして、白い
歯並を見せて笑いました。 猿は男が挨拶しようとした隙に、ふと男の手を離れて、屋....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はいまだに若わかしく、立派な風貌をそなえていて、彼が微笑を浮かべると、今も美しい
歯並があらわれるのでした。カトリーヌは低い声で彼に話しかけました。 「過ぎし日の....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
|侏儒の身体を抱き下しながら、われともなくそう云った。 しかしそれは、まばらな
歯並が覗いている、紫色の唇ではなかった。まったく、彼の思考を読み取ることができる....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
貨を取り出した。 「まあやけに大きいのね」 彼女は愉快そうに笑い出した。彼女の
歯並は悪かった。上の前歯は二本を抜かし、後は全部|義歯であった。笑うと義歯が露出....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
しいことも、その顔立ちをみて直ぐに知られたが、取分けて妹は色の白い、眉の優しい、
歯並の揃った美しい娘であるのが私の注意をひいた。 問われるままに、わたしはかの....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
って体全体に男の子のような感じがあるが、でも笑う時は笑くぼや眼の輝やきや、優しい
歯並らびが露れて本当に可愛いい少女の容貌になる。 此の母娘は評判の仲良しで近所....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
は高く、けれども前屈みで赤毛は青白い顔の上に艶を失っていた。そして長い黒く澄んだ
歯並み、高く聳えた鼻、たちまちにして深い色をたたえて前方に瞠く眼――たけだけしい....