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歯音
「歯音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歯音の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
れあい茎棘が刺しかわされてしまうので、その形相《ぎょうそう》すさまじい噛みあいの
歯音は、やがて音のない夢幻となって、いつか知らず色のなかに滲《にじ》み出てくるの....
「道づれ」より 著者:宮本百合子
帯をしめた身じまいよい胸元へ、きつく弁当箱をつつんだ風呂敷包みをかかえて、日和の
歯音を立てながら通用口から外へ出た。 電車は例の如く混みあっていて、三人並んで....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
のの発音に必須《ひっす》な器械の一つとして役立つからである。これがないとあらゆる
歯音《デンタル》が消滅して言語の成分はそれだけ貧弱になってしまうであろう。このよ....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
上には、小皿に唐辛を盛ったのが置いてあって、老人は時々それをつまんで、鼠のように
歯音をたててかじっていた。 「誰かね、あの老人は。」 「あれが田中正造だよ。鉱毒....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
かり。 その山寺の森をくぐって、里に落ちます清水の、麓に玉散る石を噛んで、この
歯音せよ、この舌歌へ、と念じても、戦くばかりで声が出ない。 うわの空で居たせい....
「犬三態」より 著者:宮本百合子
んだって。小さい男の子が、そんなことを云いながら、せんべを犬の方へ投げてやった。
歯音をカリカリ立ててすぐ喰べた。ひどくおなかすかしているの。というのは本当らしい....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
中手をして反身になり、人なんかァ殺しゃァしませんよ……といったように悠然と下駄の
歯音を、カラーンカラン! 立てて向うへ歩いて行く。 切り仆されたのは手代風の男....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
上げなかった。耳髱がブルブル顫えていた。色がだんだん紅くなった。バッチリ噛み切る
歯音がした。鬢の垂れ毛を噛み切ったらしい。 若侍は徳利を取った。自分の盃へ注ご....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
戸六松が紙のような顔で向き合っていった。 お女将が、なにか云おうとしても、声は
歯音に消されて聴えなかった。 「お悦ちゃん、大変なことになってしまったんだよ。本....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
して、「どけ! どけ! どけ!」と人波を割って娘の後を追っかけた。
ガチガチと
歯音の聞こえたのは、「本郷の殿様」が口の中で、歯叩きをしたがためであろう。
「今....