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歴々
「歴々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歴々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
。
「私はこう云っている中にも、向うの銅板画の一枚を見るように、その部屋の有様が
歴々《ありあり》と眼の前へ浮んで来ます。大川に臨んだ仏蘭西窓、縁《へり》に金を入....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
》まって、やがて扉《ドア》が開かれると、――ああ、自分はこう云う中《うち》にも、
歴々とその時の光景が眼に浮んでいる。扉《ドア》を開いてはいって来た毛利先生は、何....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
。」
「今日も使うかしら。」
「いや、使わないだろう。今日は、これでもこの道のお
歴々《れきれき》が使うのだから。」
Kは、それから、いろいろ、野呂松人形の話を....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
春宮《しゅんきゅう》の中からぬけ出したような、夕霧や浮橋のなまめかしい姿と共に、
歴々と心中に浮んで来た。如何に彼は、この記憶の中に出没するあらゆる放埓の生活を、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
士に来診《らいしん》の礼を述べた。が、その間《あいだ》も失望の色が彼自身の顔には
歴々と現れている事を意識していた。
「どうか博士もまた二三日|中《うち》に、もう....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
》を後ろにして、夏目先生の「草枕《くさまくら》」の一節を思い出させたのは、今でも
歴々と覚えている。それから急な石段を墓の所へ登ると、菫《すみれ》がたくさん咲いて....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
水を浴びた処と思うと、気のせいかその女滝の中に絵のようなかの婦人《おんな》の姿が
歴々《ありあり》、と浮いて出ると巻込まれて、沈んだと思うとまた浮いて、千筋《ちす....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ない。手札は立派に、坂田礼之進……傍へ羅馬字で、L. Sakata. すなわち
歴々の道学者先生である。 渠の道学は、宗教的ではない、倫理的、むしろ男女交際的....
「春昼」より 著者:泉鏡花
低くなって、一面に颯と拡がる、浅緑に美い白波が薄りと靡く渚のあたり、雲もない空に
歴々と眺めらるる、西洋館さえ、青異人、赤異人と呼んで色を鬼のように称うるくらい、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
み、ぐいと煽った――立続けた。 吻と吹く酒の香を、横|状に反らしたのは、目前に
歴々とするお京の向合った面影に、心遣いをしたのである。 杯を持直して、 「別れ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
間が取れる。どうしたんだろう、おかしいな。」 二 とは思ったが、
歴々彼処に、何の異状なく彳んだのが見えるから、憂慮にも及ぶまい。念のために声を懸....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ら見ると、直ぐにもうキの字だぜ、恐るべし、恐るべし。 何も、朦朧と露れたって、
歴々と映ったって、高が婦じゃないか。婦の姿が見えたんだって言うじゃないか。何が、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
まの方でも我が折れたらしく、とうとう両親の勧めに任せて、幕府へ出仕している、ある
歴々の武士の許へ嫁ぐことになりました。それは敦子さまがたしか二十四|歳の時でござ....
「滝田哲太郎君」より 著者:芥川竜之介
稿の出来ぬことに少からず屈託していた。滝田君の原稿を示し、(それは実際苦心の痕の
歴々と見える原稿だった。)大いに僕を激励した。僕はこのために勇気を得てどうにかこ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
と見て取る胸に、背後に炎を負いながら、土間に突伏して腹を冷した酔んだくれの俤さえ
歴々と影が透いて、女房は慄然とする。奴は絵に在る支那兵の、腰を抜いたと同一形で、....