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死に身
「死に身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
死に身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
見ると、赤黒いものが一すじ、汗ににじんで、左の小鬢《こびん》から流れている。が、
死に身になった次郎には、その痛みも気にならない。彼は、ただ、色を失った額に、ひい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
り、家を飛び出し、こっそりと長崎《ながさき》へくだって、きょうが日までの丸四年、
死に身になって医業を励み、どうにかこうにか一人まえの医者となって、つい十日ほどま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
り返した。取ったり取られたりして争っているうちに、二人は毛皮をそこへほうり出して
死に身のむしり合いになった。 こうして、ふたりが夢中でむしり合っている最中に、....
「食魔」より 著者:岡本かの子
き、彼は死を想い見るのだった。それはすべてを清算して呉れるものであった。想い見た
死に身を横えるとき、自分の生を眺め返せば「あれは、まず、あれだけのもの」と、あっ....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
にはげしくぶつかり、その打撃で自ら傷つきながら、なおも生を求めてやまないように、
死に身になって硝子に孔《あな》をあけようと試みている。私がそれをうるさがって、明....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
娘で、計り炭屋へ嫁に来て、味噌漉を提げると云う心は此の多助が仇には思わねえ、己も
死に身になって働き、お前も働いて此の身代を大くして、人には云えねえが、時節|次第....
「黒い手帳」より 著者:久生十蘭
こへあの急変でしょう。このまま死なせると、あたしたちの思いで殺したようになるので
死に身に看護してとうとうなおしてしまいました」 亭主はこれから白耳義《ペルジッ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
掛が上って、誰かが鶴子さんを抱き上げようとしているのが見えるんです。鶴子さんは必
死に身もだえしているようでしたが、声は聞こえませんでした。何をするんだろうと思っ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ら、 「きょうこそは、どうでもあなたを叩きふせてやろうと思いましてね、ゆうべから
死に身になって探していたんだが、ここでつかまえることが出来たのはなにより重畳《ち....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
れに何かいわくありげなようすだが、そんなことはどうでもいい、一両と聞いて駕籠屋は
死に身だ。 刺青《ほりもの》の膚に滝《たき》なす汗を振りとばして、車坂《くるま....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
らに見せたら、さぞまた悪口の種になるだろうと思いますと死に切れませんでね。そこで
死に身になって料簡を逆に取りましてね。 まえから幾らか酒がいけ、飲むと平常と違....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
るのが一番原因になっています。血の出る時の本能的な不安は実にいやなものです。私は
死に身を任せる覚悟のできていない生活はたしかなものではないと思いだしました。そし....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
をスケッチしたぐらいの、軽い気分で読んでいただきたい、何も登山記だからと言って、
死に身になってコチコチと緊張しなければならない、というものでもなかろう。 シャ....
「好日」より 著者:三好十郎
。あなたも、こだわり過ぎると思うんだ。 三好 こだわる! こうして僕も戯曲だけを
死に身になって書いていりゃ、こだわらざるを得ないんだ。 浦上 ……あなたも、しか....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
で、イヤという程、喉を締めている相手の腕を撲った。 襟の力が緩んだので孫兵衛は
死に身になってはね返った。と一緒に、突き飛ばした深編笠の影へサッと斬りつけたが、....