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死に面
「死に面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
死に面の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「睡蓮」より 著者:横光利一
私は氏を剣客だとばかり思っていたのにそれが歌人だったと知ると、俄に身近かなものの
死に面したような緊張を感じ、粗末な集を先ず開いたところから読んでみた。 「宵月は....
「死生」より 著者:幸徳秋水
眼前の事実、何人も争う可らざる事実ではない歟、死の来るのは一個の例外を許さない、
死に面しては貴賎・貧富も善悪・邪正も知愚・賢不肖も平等一如である、何者の知恵も遁....
「愛卿伝」より 著者:田中貢太郎
愛卿の勧める薬を自分の手で飲むことすらできないようになった。愛卿は枕頭に坐って、
死に面している老婆の顔を見て泣いていた。と、麻殻のような痩せた冷たい手がその手に....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
者が人知れず痰を吐いて、混血の少ないのにほっと息を吐くときの苦心は知るまい。私は
死に面接してる。君らは死を弄んでる。死は私には事実だが君らには空想だ。『自然』に....
「死刑の前」より 著者:幸徳秋水
びともあらそうべからざる事実ではないか。死のきたるのは、一個の例外もゆるさない。
死に面しては、貴賎・貧富も、善悪・邪正も、知恵・賢不肖も、平等一如である。なにも....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
してくれる新しい指導者だ、ということがやっとわかってきた、――まるでゾシマ長老が
死に面して、この人に遺言でもしたかのようであった。
『たぶん、お二人のあいだに、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
を話していた。その沈着こそ、この町のりっぱな特徴の一つであって、苦悶《くもん》や
死に面しても人々はそれを失わなかった。 この剛毅な市民は、自己の価値を知ってい....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
小堀義哉の心の中は泉のように澄んでいた。 なんの雑念も混じっていなかった。
死に面接した瞬間に、人間の真価は現われる。驚くもの恐れるもの、もがくもの泣き叫ぶ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
りが、怨みが、せめて、皮肉な言葉であろうと――己の陰謀の成就を喜びながらも、人の
死に面して、異常な仁慈の心の主君の死に対して、平静な、厳粛な心に立返っていた将曹....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
溺死するより先に皆凍死していた。 この運命を静かに受取った人もある。敢然として
死に面した者も尠くなかった。が、多くは互いに争った。獣類のように争った。汽缶の爆....
「小山内薫先生劇場葬公文」より 著者:久保栄
厳父のごとく仰ぎ見、慈母のごとく慕っていたわれわれ八十人の同志は、にわかに先生の
死に面して、愕然として為すところを知らなかったのであります。 顧るに先生は、新....
「ある思想家の手紙」より 著者:和辻哲郎
どを想像し、その人々のために大きい愛を祈りました。ことに血なまぐさい戦場に倒れて
死に面して苦しんでいる人の姿を思い浮かべると、私はじっとしていられない気がしまし....
「地異印象記」より 著者:和辻哲郎
も我々の多くは死が自分に縁遠いものであるかのような気持ちで日々の生を送り、ある日
死に面して愕然と驚くまでは死に備えるということをしない。それと同じように、百年に....