死児[語句情報] »
死児
「死児〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
死児の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
は薄暗い。妻は台所の土間《どま》に藁火《わらび》を焚《た》いて、裸体《らたい》の
死児《しじ》をあたためようとしている。入口には二、三人近所の人もいたようなれどだ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
方ではあの執着が、私の手を遮ってしまうので、結局宿命の、行くがままに任せて――。
死児を生み、半児の血塊《ちだま》を絶えず泣かしつづけて――。ああほんとうに、あの....
「門」より 著者:夏目漱石
、これは位牌にもならずに流れてしまった、始めから形のない、ぼんやりした影のような
死児の上に投げかけた。御米は広島と福岡と東京に残る一つずつの記憶の底に、動かしが....
「足迹」より 著者:徳田秋声
りやっていた。 二、三度腹が痛んだかと思うと、死んだ胎児はじきに押し出された。
死児はふやけたような頭顱が、ところどころ海綿のように赭く糜爛して、唇にも紅い血の....
「微笑」より 著者:横光利一
彼を見舞いに来る高田と会ったとき、梶は栖方のことを云い出してみたりしたが、高田は
死児の齢を算えるつまらなさで、ただ曖昧な笑いをもらすのみだった。 「けれども、君....
「子猫」より 著者:寺田寅彦
に照らせばそれは明白に不可能な事であるが、しかし猫の精神の世界ではたしかにこれは
死児の再生と言っても間違いではない。人間の精神の世界がN元のものとすれば、「記憶....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
た。死別後は私の容態も増悪し、一か月近くを同じ重病室に過したが、その間、誰れ一人
死児のことを口にしてくれなかったのも、ふるえ上る私の傷みにはおもいやりのある好意....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
をいたわってやったり何かしていた文相は、児童への同情が昂じた余り、四十一名もの災
死児童を出した京都西陣小学校で、児童を横のコンクリートの建物の中に避難させなかっ....
「環礁」より 著者:中島敦
ている中に、私は、ひょいと能の「隅田川」を思い浮かべた。母なる狂女に呼ばれて幼い
死児の亡霊が塚の後からチョコチョコ白い姿を現すが、母がとらえようとすると、またフ....
「私の先生」より 著者:林芙美子
りていた。大井先生はまた私に色々な本を貸してくれた。広津和郎《ひろつかずお》の『
死児を抱いて』と云う小さい本なぞ私は愕きをもって読んだものであった。 ある日、....
「澪標」より 著者:外村繁
れに代って、みねと、とよと、かねが女中に来ていた。 そのかねが大裏の物置小屋で
死児を産んだという。母が顔色を変えて立ち上る。私もその後から駆けて行く。が、母が....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
そのことは彼の手紙に書いてなかった。 四月二日朝、おせいは小石川のある産科院で
死児を分娩した。それに立合った時の感想はここに書きたくない。やはり、どこまでも救....
「童子」より 著者:室生犀星
妻は、医者のしたことの、最も正しいことであることを言った。私は黙り込んだ。が、
死児をみると、どうも諦めかねた。怨むまいと思うが怨むぞと、そう誰に向ってか絶えず....