死屍[語句情報] »
死屍
「死屍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
死屍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を持って縁側の所に出た。そしてその花のかたまりの中にむずと熱した手を突っ込んだ。
死屍《しし》から来るような冷たさが葉子の手に伝わった。葉子の指先は知らず知らず縮....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
はやはりしとしとと降っていた。 雨は明くる朝まで降りやまないで、西横堀の川端に
死屍《しかばね》をさらした男と女との生《なま》なましい血を洗い流した。男は鑿《の....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
にいて、刻々と伝わってくる報告を取りあげ、ますます不機嫌になっていった。扉の前に
死屍は累々として、今は扉を開くどころか死体を持ちだすことさえならなくなったと聞き....
「俘囚」より 著者:海野十三
なものがゴロリと転《ころが》り出た。 「これが我が国外科の最高権威、室戸博士の餓
死屍体《がししたい》です!」 あまりのことに、人々は思わず顔を背《そむ》けた。....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
めるように、日一日と深刻さが加わって来る。 気の早いものは、二十億の地球人類の
死屍が累々として、地球全土を蔽っている光景を想像して、自殺の用意に取懸《とりかか....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
った。濛々と淡黄色を帯びた毒瓦斯が、霧のように渦を巻いて、路上一杯に匍ってゆく。
死屍累々、酸鼻を極めた街頭が、ボッと赤く照しだされた。市民の鮮血に濡れた、アスフ....
「蠅」より 著者:海野十三
ないかと、都大路は上を下への大騒動だった。 「きょうはこれで……六十三人目かナ」
死屍室から出て来た伝染病科長は、廊下に据付けの桃色の昇汞水の入った手洗の中に両手....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
どう変りこっちにどう仕向けようと、余悠綽々なのだ。ここのところをわが青海流では、
死屍水かかずしてよく浮く といって、平泳ぎのこころだ」 「それは、よくおとうさん....
「海底都市」より 著者:海野十三
ぎせいを払うことになりそうだ。つまり、共にひどく死に、そして傷ついて、この海底は
死屍《しし》るいるいとなるであろう。 「カビ君。なんとか妥協《だきょう》の道はな....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
た後だった」 「兄さんは天誅に値する方ですか」 「故人の罪悪をここで一々復習して
死屍に鞭打つことは差控えましょう。とにかく彼の行状はよくなかった」 「あなたは、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
工式の繁瑣な神学を捏ち上げた人達、朝に一条を加え、夕に一項を添えて、最後に一片の
死屍にも似たる、虚礼虚儀の凝塊を造り上げた人達――それ等はイエスを冒涜者と見做し....
「科学時潮」より 著者:海野十三
を借りて観測した。白い蒸気のようなものが飛散している。附近の草木は枯死し、鳥獣の
死屍も累々たるのが見えた。不図、死の谷へ下りようという峠のあたりに人影が見えた。....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
あった。そうしてその時ばかり狂気の如くなって、守刀で刺し殺されるのであった。その
死屍は古井戸の中に捨てられたのであった。 寛文十二年二月二十一日晩方、高田殿は....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
見咎められて、二人ともに鞍の上から斬り落とされてしまった。血みどろになった二つの
死屍は折り柄ふりしきる春雨に洗われながら、野良犬の亡骸のように川原に投げ捨てられ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
浅間しいものに顧みられた。 腹と頭ばかり大きくって、手足や胸は痩せ細り、腐った
死屍の肉に取り付いて貪り食っている地獄の図の中の餓鬼は、取りも直さず自分に思えた....