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「死灰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

死灰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外科室」より 著者:泉鏡花
さずして、寂然《せきぜん》たりしその瞬間、先刻《さき》よりちとの身動きだもせで、死灰のごとく、見えたる高峰、軽く見を起こして椅子《いす》を離れ、 「看護婦、メス....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
」 彼はそんなときほどはかない気のするときはなかった。燃えた雲はまたつぎつぎに死灰になりはじめた。彼の足はもう進まなかった。 「あの空を涵《みた》してゆく影は....
雪後」より 著者:梶井基次郎
別れた。 電車の窓からは美しい木洩《こも》れ陽《び》が見えた。夕焼雲がだんだん死灰に変じていった。夜、帰りの遅れた馬力が、紙で囲った蝋燭《ろうそく》の火を花束....
高野聖」より 著者:泉鏡花
車に乗り組んだと覚えている、腰掛《こしかけ》の隅《すみ》に頭《こうべ》を垂れて、死灰《しかい》のごとく控《ひか》えたから別段目にも留まらなかった。 尾張《おわ....
」より 著者:島木健作
きがきこえ、それは烈《はげ》しい毒素のように一切の情熱をほろぼし、彼は再び冷たい死灰のような心に復るのであった。 太田がそうした状態にある時に、一方彼が日々眼....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
呼び覚まされて荒涼な空間中に新生命を付与するようになるであろう。『このごとくその死灰の中から再び甦生せんがためにのみ我と我が身を燃き尽くすこの自然の不死鳥(〔P....
自叙伝」より 著者:大杉栄
来た。 僕はその頃の僕の記憶の一断片について、かつて『乞食の名誉』の中の一篇「死灰の中から」の中に書いた。 ――僕が十八の年の正月頃だった。(あるいはもう二....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
どにも丸く肥えて愛くるしい魚の胴が遅々として進む。復一は生ける精分を対象に感じ、死灰の空漠を自分に感じ、何だか自分が二つに分れたもののように想えて面白い気がした....
雛妓」より 著者:岡本かの子
もない、枯骨と灰石の対面ではあるが、いのちというものは不思議な経路を取って、その死灰の世界から生と情緒の世界へ生れ代ろうとするもののようである。わたくしが案外、....
洪水大陸を呑む」より 著者:海野十三
る。そのたびに、すごい火の地獄絵がひろがる。月がとびあがったときに見えたが、あの死灰のようであった月が、今はその下半分が炉の中へほうりこんだ石炭のように赤く赤く....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
外には御寮を迎の人数が満ちて、汽車は高崎に留まろうとしたのであるから…… 既に死灰のごとく席に復して瞑目した技師がその時再び立った。ここに手段があります、天が....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
、床を取ってくれ、気分が悪いじゃ。貞、床をとってくれ、気分が悪いじゃ。」 面は死灰のごとくなりき。 時彦はその時よりまた起たず、肺結核の患者は夏を過ぎて病勢....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とんど形もないような塊になってしまいました。 冷静なセラピオン師は、いたましい死灰を指さして叫びました。 「ロミュオー卿、あなたの情人をご覧なさい。こうなって....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、その壺のおもてに、わたくしはあの深重な肉霊の輪廻をまざまざと知覚するのである。死灰から更生した壺の胴まわりには怪獣と夢想の花のアラベスクが浮きだされている。円....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
である。それは誰にも解されない慾望かも知れない。しかし何等かの方法によって、この死灰の美女に息を吹き返させ自分同様、悩みと苦熱の血を通わしてやり度い。そう思って....