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「死臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

死臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
廃墟から」より 著者:原民喜
とバスの窓に吹込んで来る風に、妙な臭《にお》いがあったのを私は思い出した。あれは死臭にちがいなかった。あけがたから雨の音がしていた。翌日、私は甥を連れて雨の中を....
旅愁」より 著者:横光利一
で父を吊り上げて棺へ納めようとしたとき、背中が汗ばんだ温くもりで湿っているのに、死臭が幽かに鼻を打った。すると、胸の下へ手を入れていた幸子が突然父から手を放した....
夏の花」より 著者:原民喜
いた。外郭だけ残っている浅野図書館は屍体収容所となっていた。路はまだ処々で煙り、死臭に満ちている。川を越すたびに、橋が墜ちていないのを意外に思った。この辺の印象....
秦の出発」より 著者:豊島与志雄
、友と二人で客間にいる時、ふとした沈黙のさなかに、天井を仰いで大声で言った。 「死臭あり、死臭あり。」 彼女ははっと我に返って、顔色を変えた。――いつも自分が....
猫捨坂」より 著者:豊島与志雄
臭気に重なり合う。母はいつも臭いおり物がして、おむつに垂れ流しであり、体にも既に死臭がある。それらの臭いがこもってる病室内の空気は、重々しくて異様だ。髑髏の眼※....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
った時に、孔雀は無意識にそれを行った。それで僕は、もしかしたらその感覚に、孔雀は死臭を経験しているではないかと考えたのだ。また、その神経現象は、奈落――と云った....
長島の死」より 著者:坂口安吾
彼と話を交すために――彼は頻りに私の名を呼ぶので――その口へ耳を寄せる時、殆んど死臭のような堪えがたい悪臭の漂うのには無慙な感をいだかされた。死んでからの顔の方....
もう軍備はいらない」より 著者:坂口安吾
のクビが路にころがっているのを見ても、あのころは全然不感症だった。美も醜もない。死臭すら存在しない。屍体のかたわらで平然とベントーも食えたであろう。一分後には自....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
空骸を背負って歩いた。夜は抱いて山に寝た。 いくら肌寒い山中でも、三日も経つと死臭を放ちはじめたが、それでも母の死骸を捨てきれなかった。 大日岳へかかった。....