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殆
「殆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
殆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
れ等の本の中に何十冊とも知れぬ本を愛した。しかし――
しかし彼の愛したのは――
殆《ほとん》ど内容の如何を問わずに本そのものを愛したのはやはり彼の買った本だった....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
こうじ》の実が赤らんだり、一層風流に見えるのだった。のみならずこの家のある横町も
殆《ほとん》ど人通りと云うものはなかった。豆腐屋さえそこを通る時には荷を大通りへ....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
っても差支《さしつか》えない。
そう云う次第だから、斉広は、登城している間中、
殆どその煙管を離した事がない。人と話しをしている時は勿論、独りでいる時でも、彼は....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
あたりは新しい赤煉瓦《あかれんが》の西洋家屋や葉柳《はやなぎ》なども見えるだけに
殆《ほとん》ど飯田河岸《いいだがし》と変らなかった。僕は当時|長江《ちょうこう》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
かぬように扱うと云う騒ぎでございましたから。」
内蔵助は、こう云う十内の話を、
殆ど侮蔑されたような心もちで、苦々《にがにが》しく聞いていた。と同時にまた、昔の....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
勿論《もちろん》彼等とは別人だった。が、女の断髪や男の中折帽をかぶった姿は彼等と
殆《ほとん》ど変らなかった。
「僕は何だか気味が悪かった。」
「僕もいつの間に来....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
*
我我を支配する道徳は資本主義に毒された封建時代の道徳である。我我は
殆《ほとん》ど損害の外に、何の恩恵にも浴していない。
*
強者は道徳を....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
とに夜明近くまで坐っていた。が、なぜかゆうべのように少しも涙は流れなかった。僕は
殆《ほとん》ど泣き声を絶たない僕の姉の手前を恥じ、一生懸命に泣く真似《まね》をし....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
けながら、こう云う女生徒の群れを眺めていた。彼等はいずれも快活だった。のみならず
殆どしゃべり続けだった。 「写真屋さん、ラヴ・シインって何?」 やはり遠足につ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
使いが、床の上にひれ伏したまま、嗄れた声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、
殆ど生死も知らないように、いつかもうぐっすり寝入っていました。 五 ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
鉄冠子の言葉を思い出しながら、緊く眼をつぶっていました。するとその時彼の耳には、
殆声とはいえない位、かすかな声が伝わって来ました。 「心配をおしでない。私たちは....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
ん目の前へ展開して来る。顔に当る薄暮の風、足の下に躍るトロッコの動揺、――良平は
殆ど有頂天になった。 しかしトロッコは二三分の後、もうもとの終点に止まっていた....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
陰影に富んだ性格の所有者だ。愛憎の動き方なぞも、一本気な所はあるが、その上にまだ
殆病的な執拗さが潜んでいる。それは江口自身不快でなければ、近代的と云う語で形容し....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
は、丁度去年の今頃である。君はその時神経衰弱とか号して甚意気が昂らなかった。が、
殆丸太のような桜のステッキをついていた所を見ると、いくら神経衰弱でも、犬位は撲殺....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
する神経は麻痺し切つてゐるといつてもいゝ。従つて、東京の印象といふやうなことは、
殆んど話すことがないのである。 しかし、こゝに幸せなことは、東京は変化の激しい....