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殊勝
「殊勝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
殊勝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
で、かれこれ三十分ばかりも手間どった。平吉はその度に、医者から酒を禁じられるが、
殊勝らしく、赤い顔をしずにいるのはほんのその当座だけで、いつでも「一合位は」から....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、魂も空にけし飛んだのでございましょう。女菩薩の幢《はた》を仰ぎますと、二人とも
殊勝げな両手を合せて、わなわな震えながら、礼拝《らいはい》いたしました。と思うと....
「或る女」より 著者:有島武郎
いう声の一座の人々からあげられるのを待って室《へや》にはいった。列座の人々はまだ
殊勝らしく頭をうなだれている中に、正座近くすえられた古藤《ことう》だけは昂然《こ....
「或る女」より 著者:有島武郎
感じた。次にどうかしてそんな恐ろしいはめから倉地を救い出さなければならないという
殊勝な心にもなった。しかし最後に落ち着いたのは、その深みに倉地をことさら突き落と....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
酒井先生も御承知で、内証で飯田町の二階で、直々に、お蔦に逢って下すって、その志の
殊勝なのに、つくづく頷いて、手ずから、小遣など、いろいろ心着があった、と云う。 ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
矛盾があり表裏があっても、それは習俗的な社会の頓着するところではない。単にお前が
殊勝な言行さえしていれば、社会は無事に治まって泰平なのだ。社会はお前を褒めあげて....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
は知るまい、女の膚身を湯で磨く……気取ったのは鶯のふんが入る、糠袋が、それでも、
殊勝に、思わせぶりに、びしょびしょぶよぶよと濡れて出た。いずれ、身勝手な――病の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
横に支きながら、丁寧に会釈する。 姥はあらためて右瞻左瞻たが、 「お上人様、御
殊勝にござります、御
殊勝にござります。難有や、」 と浅からず渇仰して、 「本家....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
この女はどうなる幕です。」 「おいの、……や、紛れて声を掛けなんだじゃで、お稲は
殊勝気に舞台じゃった。――雨に濡りょうに……折角の御見物じゃ、幕切れだけ、ものを....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
持出して、息杖につくのだそうで。……これで戻駕籠でも思出すか、善玉の櫂でも使えば
殊勝だけれども、疼痛疼痛、「お京何をする。」……はずんで、脊骨……へ飛上る。浅草....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に行って見ると、これは思いの外に|六ヶしい仕事で、少しの油断があれば、姿はいかに
殊勝らしく神様の前に坐っていても、心はいつしか悪魔の胸に通っている。内容よりも外....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
ふりすてて行かれましょう。たとえこごえ死にに死にはするともここ一足も動きませんと
殊勝な事を申しましたが、王子は、 「そんなわからずやを言うものではない。おまえが....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
つらなくなった。女より食物だね。好きな物を食ってさえいれあ僕には不平はない。 A
殊勝な事を言う。それでは今度の下宿はうまい物を食わせるのか。 B 三度三度うまい....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
めたので空家になり、また貸札でも出そうかという処へ娘のお縫。母親の富とは大違いな
殊勝な心懸、自分の望みで大学病院で仕上げ、今では町|住居の看護婦、身綺麗で、容色....
「活人形」より 著者:泉鏡花
吸を引取ましたかい。可愛や可愛や、袖振合うも他生の縁とやら、お念仏申しましょ。と
殊勝らしく眼を擦り赤めてやおら病院を退出ぬ。泰助は医師に向い、「下手人がしらばく....